北川信行の蹴球ノート

「究極の育成型」セレッソ大阪堺レディースが「WE」へ…その狙いとは

開幕戦で決勝点を挙げたセレッソ大阪堺レディースの15歳のFW、栗本悠加
開幕戦で決勝点を挙げたセレッソ大阪堺レディースの15歳のFW、栗本悠加

サッカー女子、なでしこリーグ1部のセレッソ大阪堺レディースが、早ければ2023~24年シーズンから、女子プロのWEリーグに参入する。関係者によると、加入申請に向けた準備を進めており、選手15人以上とのプロ契約やホーム試合の8割以上が開催可能なスタジアムの確保といった参入条件を満たすべく、協議を重ねている。20日には今季のなでしこリーグ1部の開幕戦がホームのヨドコウ桜スタジアム(大阪市東住吉区)で行われ、途中出場した15歳のFW栗本悠加のゴールで、アンジュヴィオレ広島に1-0で勝利。優勝を手土産にしたWEリーグ参入に向け、幸先良いスタートをきった。

「究極の育成型」の伝統育む

試合前に整列するセレッソ大阪堺レディースの選手ら=ヨドコウ桜スタジアム(北川信行撮影)
試合前に整列するセレッソ大阪堺レディースの選手ら=ヨドコウ桜スタジアム(北川信行撮影)

セレッソ大阪堺レディースは立ち上げの経緯や、これまでの運営方針から、「究極の育成型チーム」と言われる。2010年に男子のJリーグ、セレッソ大阪の育成部門の女子チームとしてセレッソ大阪レディースU-15(15歳以下)が発足。移籍による補強を原則として行わず、セレクション(選抜試験)で加入した中学生が成長するのに合わせてチームを強化してきた。12年にセレッソ大阪レディース、13年には現在のセレッソ大阪堺レディースに改称。18年に当時は国内最高峰だった、なでしこリーグ1部に初昇格した。1年で2部に降格したものの、再昇格した20年には強豪の浦和レッドダイヤモンズレディース(現三菱重工浦和レッズレディース)やINAC神戸レオネッサから白星を挙げるなど旋風を巻き起こし、4位に入る健闘を見せた。

ところが、国内初の女子プロリーグとなるWEリーグが発足することになり、当時はまだ年齢的に大学生や高校生主体のチームで大量のプロ契約がなじまないことや、男子のU-18(18歳以下)チームなどと同じセレッソ大阪のアカデミー(育成組織)の中の1チームの位置づけで、株式会社ではなく、一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブが運営主体となっていることなどから、参入を見送った経緯がある。

しかしその後、女子日本代表「なでしこジャパン」に招集されたDF宝田沙織(リンシェーピング=スウェーデン)やMF林穂之香(AIKフットボール=同)、MF北村菜々美(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、MF脇阪麗奈(ノジマステラ神奈川相模原)、FW浜野まいか(INAC神戸レオネッサ)らが相次いで高いレベルでのプレーを求めて海外やWEリーグのチームに移籍。「レディースの歴史をみればみるほど、すごい積み重ねの上に、今のチームがある。さらに発展するように取り組まないといけないとの判断」(関係者)から、参入に向けて活動する方針に舵をきった。

格上、WEリーグ勢を撃破

アマチュア主体となった昨季のなでしこリーグ1部では3位。皇后杯全日本選手権では、4回戦でノジマステラ神奈川相模原を3-2、準々決勝でアルビレックス新潟レディースを1-0と、格上のWEリーグ勢を相次いで撃破し、4強入りを果たした。

さらに、18歳以下の下部チームであるセレッソ大阪堺ガールズが全日本U-18女子サッカー選手権で、日テレ・東京ヴェルディメニーナや三菱重工浦和レッズレディースユースといったWEリーグ加盟チームの下部チームを次々と下して優勝。「究極の育成型」の伝統が息づいていることを改めて証明した。

若い選手が次々と

開幕戦の勝利を喜ぶセレッソ大阪堺レディースの選手ら=ヨドコウ桜スタジアム(北川信行撮影)
開幕戦の勝利を喜ぶセレッソ大阪堺レディースの選手ら=ヨドコウ桜スタジアム(北川信行撮影)

迎えた今季のなでしこリーグ開幕戦。先発メンバーに名を連ねた15歳のDF木下日菜子をはじめ、セレッソ大阪堺ガールズの選手が4人ベンチ入り。全員が途中出場を含めてピッチに立ち、そのうちの1人の栗本が後半ロスタイム、果敢にゴール前に詰めて決勝点を奪った。ベンチ入りした18人の平均年齢は19・1歳。ちなみに対戦相手のアンジュヴィオレ広島はベンチ入り16人で、23・8歳だった。

「監督からは点を取ってくるように言われた。みんなの意気込みが集まったゴールだった」と栗本。「ガールズから上げてきた選手がいることで、いろんな手を打てた。これからさらに若い選手が入ってくることを期待したい。今の若い選手はスピードがあって瞬発力がある」と開幕戦を振り返った竹花友也監督は「目標は優勝、それだけ。チームについては、10年前からやり続けている90分間攻守に関わるアグレッシブなサッカーをしたい」と意気込みを話した。

20日から高円宮記念JFA夢フィールド(千葉市)で行われているU-17(17歳以下)日本女子代表候補トレーニングキャンプには開幕戦に出場した木下や16歳のDF白垣うのら4人が参加。今年10月にインドで行われるU-17女子ワールドカップでの活躍が期待される。

「WEリーグ加入に向け、レディース独自の新たなパートナーやスポンサーを探す必要もあると思っている。チームの運営や強化の方法なども含め、セレッソ大阪のグループ全体で話し合いを進めていきたい」と話す関係者は「WEリーグに加入すればいいというわけではなく、そこで優勝争いできるチームにしていきたい」と力を込める。

現在のWEリーグは11チームで構成しているが、関東圏のチームが過半数の6チームを占める。西日本はINAC神戸レオネッサとサンフレッチェ広島レジーナの2チームだけ。「東高西低」の状況を是正する上でも、セレッソ大阪堺レディースの加入が待たれる。


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