【ワシントン=渡辺浩生】米国防総省高官は21日、黒海北部に展開するロシア海軍の水上戦闘艦の動きが活発化し、洋上からの砲撃が南部オデッサの市内と郊外に着弾したことを明らかにした。市内への砲撃を確認したのは初めて。高官は、上陸作戦が近いかどうかの判断を避けたが、露海軍が最大港湾都市オデッサの攻略に向けて動き出した可能性がある。
ロシアは19日、極超音速ミサイルでウクライナ西部の地下武器貯蔵施設を破壊したと発表したが、高官は比較的短距離の目標に長距離射程のミサイルが使用された理由を、「西側諸国やウクライナへメッセージを送り、交渉での影響力確保を狙った可能性がある」との見方を示した。
地上部隊がウクライナ側との激しい戦闘で首都キエフ、東部マリウポリなど主要都市の制圧を依然として達成できていない半面、露軍は包囲した市街地へのミサイル攻撃や長距離の砲撃を強化。侵攻開始から発射されたミサイルは1100発を超えた。
高官によると、ロシアの航空機の出撃回数が過去1日で約300回に上り、その多くが地上の目標への対地攻撃だった。ウクライナ側の対空攻撃を回避しようとロシア領空から発射するケースも増えている。
高官は「勢いをつけて戦争の流れを変えようとする必死の試みであり、民間人にはますます危険な状況になっている」と避難した。
これに関連し、国防総省のカービー報道官は21日の記者会見で、「ロシア軍が戦争犯罪を実行している明白な証拠がある」と語り、戦争犯罪の調査・証拠収集に協力する考えを明らかにした。