クリミア半島「露主権」に国民投票 ゼレンスキー氏、一定の譲歩示唆

ゼレンスキー大統領(ゲッティ=共同)
ゼレンスキー大統領(ゲッティ=共同)

ロシアによるウクライナ侵攻で、同国のゼレンスキー大統領は21日、停戦交渉でロシアが要求している東部の親露派地域の「独立」の承認や、2014年にロシアが一方的に併合した南部クリミア半島への露主権の承認について、国民投票で是非を問う可能性に言及した。ゼレンスキー氏は従来、領土問題では譲歩しない立場を示してきたが、方針の変更を示唆した形だ。

ウクライナ公共テレビのインタビューでの発言を同国メディアが伝えた。ゼレンスキー氏は国民投票を行う場合、ウクライナの「中立化」を念頭に置いた米欧諸国によるウクライナの安全の保証や、親露派地域の独立、クリミアの主権問題が議題となると指摘した。

「私は国民とともに歩むのであれば、どこにでも行く準備がある」と述べ、国民投票の結果次第では領土問題などでロシアに妥協する可能性も示唆した。

一方、21日、「露大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダが露国防省の情報として露軍9861人が戦死したとする記事をウェブサイトに掲載後、削除した」とする情報が「削除前の元記事」とされるデータとともにインターネット上で拡散し、英BBC放送やウクライナメディアも伝えた。

同紙は21日、「ハッキングで虚偽情報が記載され、削除した」と説明。米政府系ラジオ「自由ヨーロッパ」はネット上の記録を基に、掲載直後の記事に当該の数字はなく、説明には一定の信憑(しんぴょう)性があるとの見方を示した。

また、露国防省は21日、8人が死亡したとされる首都キエフの商業施設への20日の砲撃について、商業施設は武器保管場所となっていたと主張。先に使用を公表した極超音速ミサイル「キンジャル」は1千キロ超の距離を10分以内で飛行したとも説明した。

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