公示地価 神奈川県の住宅地、一転上昇 回復基調

神奈川県内の商業地の地点で公示地価が最も高い横浜駅西口の横浜モアーズ=横浜市西区(末崎慎太郎撮影)

国土交通省が22日に公表した令和4年の公示地価(1月1日時点)で、神奈川県内の住宅地の平均変動率は0・2%増(前年0・6%減)と、8年ぶりの下落となった前年から一転、上昇した。商業地が1・0%増(同0・1%増)と10年連続で上昇し、工業地は2・6%増(同1・8%増)の9年連続の上昇で堅調に推移した。全体では、新型コロナウイルス感染拡大による打撃を大きく受けた前年からは回復基調にあるものの、特に飲食業や観光業が主な商業地では、コロナ禍前の水準にはいまだ届かない結果となった。

住宅地

住宅地の価格上昇地域は県内3政令市を中心に計36市区町で、前年の14市区から大幅に増加した。価格順では、高級住宅街として知られる横浜市中区山手町の地点が6年連続で1位。武蔵小杉駅から徒歩圏内にある地点(川崎市中原区)も6年連続で2位となった。

横浜市では、市全体の平均変動率は0・8%増(同0・2%減)。前年、コロナ禍のため大幅に上昇率が縮小した市東部や横浜駅周辺の中心部では依然、利便性などの面で需要は根強く、高い上昇率が見られた。また低調な傾向にあった市南西部でも、横ばいの金沢区を除いて上昇した。

区ごとの上昇率は、西区の2・4%増(同1・7%増)が最大で、鶴見、神奈川、中、港北、都筑の5区は1%以上の上昇。変動がなかった金沢区を除いた11区では、1%未満の上昇となった。

川崎市では、市全体の平均変動率は0・6%増(同0・0%)と、前年の横ばいから上昇した。東京都内との価格差などから人口増加が続いており、利便性が高い地域を中心に需要は堅調。区ごとでは、中原区と高津区で1%以上の上昇、区平均で唯一の下落となった麻生区を除く4区では、いずれも1%未満の上昇となった。

相模原市では、市全体の平均変動率は0・8%増(同0・1%減)。市内3つの区で最も高い上昇率の1・0%増(同0・1%増)となった緑区は、都心へのアクセスも良好で需要の下支えがある。リニア中央新幹線開通への期待感などから橋本駅(緑区)周辺の4地点が、県内の上昇率上位10地点に入った。

人口減少が進む県西部の一部や三浦半島では地価の下落傾向が続き、平均変動率は三浦市が2・9%減(同4・1%減)と県内最低で、南足柄市や大井町、愛川町、真鶴町、清川村でも2%以上の下落が見られた。

商業地

商業地では、横浜駅西口のモアーズの地点(横浜市西区)が、価格順で10年連続で首位。県全体の平均変動率も1・0%増(同0・1%増)と回復基調にある一方、飲食業や観光業を主とする地区では、昨年の緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置による打撃は大きく、コロナ禍前の水準までには戻らなかった。

横浜市では、市全体の平均変動率が1・6%増(同0・5%増)。県内上昇率の上位10地点には、市内からは港南区(3位)や神奈川区(5位)など計6地点が入った。

川崎市では、10年連続で全区の価格が上昇した。市全体の平均変動率は1・5%増(同0・8%増)と上昇率を伸ばしたが、いずれの地点でも低調な上昇にとどまった。

相模原市では、市全体の平均変動率は0・9%増(同0・6%減)で、橋本駅(緑区)近くの地点が県内上昇率では1位となった。

工業地

工業地は県全体の平均変動率が2・6%増(同1・8%増)で、上昇率が拡大した。「さがみ縦貫道路」など高速交通道路網の整備で、周辺工業地の地価は堅調に推移している。

上昇率上位5位には、いずれも物流拠点としての利便性の高さから、臨海工業地区の横浜市鶴見区(1位)、中区(2位)、神奈川区(4位)と、陸路では県央地区の厚木市(3、5位)の2地点が入った。

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