【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は21日、ロシアがサイバー攻撃を活発化させる恐れがあるとして、民間企業に警戒態勢を引き上げるよう求める声明を出した。対策に漏れがないかや、攻撃発生時の対処計画を至急確認するよう要請した。ニューバーガー米大統領副補佐官(サイバー・新興技術担当)は同日、ロシアによる攻撃が発生すれば報復する用意があると警告した。
バイデン氏は声明で、ウクライナを侵略したロシアへの米欧の経済・金融制裁に対抗し、「ロシア政府が実行可能なサイバー攻撃の選択肢を検討している」情報があると指摘した。
そのうえで、基幹インフラの運営企業をはじめとする民間企業に対し、警戒を強めるよう求めた。
米政府は対策として、情報システム運用者による認証手続きの強化や、データのバックアップ、サイバー攻撃が発生した場合の対処演習の実施などを挙げた。
一方、ニューバーガー氏は21日の定例記者会見で、ロシアがサイバー攻撃を米国に仕掛ければ「米国は対応する準備ができている」と強調し、報復措置の発動を躊躇(ちゅうちょ)しない姿勢を示した。
米国では昨年、全米最大級のパイプラインの運営会社がロシア拠点のハッカー集団に攻撃され、運営が一時停止して国内の燃料価格が上昇した経緯がある。