【カイロ=佐藤貴生】ロシアの侵攻が続くウクライナのゼレンスキー大統領は20日、イスラエル国会でリモート演説し、世界屈指の防衛能力を持つイスラエルの防空システムは「確実にウクライナの国民とユダヤ人を助ける」と訴え、供与するよう求めた。
自らもユダヤ人であるゼレンスキー氏は、露大統領府が「ウクライナ問題の最終解決」について協議していると述べ、第二次大戦時にナチス・ドイツが「ユダヤ人問題の最終解決」と称して行ったホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)になぞらえてイスラエルに連帯を求めた。
また、イスラエルは米欧のような厳しい対露制裁を行っていないと主張し、「それはあなた方の選択だ」と指摘。イスラエルにはその方針が今後もつきまとうと述べ、制裁に加わるよう求めた。
露、ウクライナ両国には一定の規模のユダヤ人が居住しており、イスラエルのベネット首相は露の侵攻後、両国の調停を試みた。露はシリア内戦でイスラエルと敵対するアサド政権を支援しており、イスラエルは自国の安全保障の点からも露との関係悪化は避けたいものとみられる。