ウクライナに侵攻したロシア軍は19日もウクライナ各地で攻撃を続け、東部マリウポリでは市中心部まで露軍が侵入し、戦闘が激しさを増している。一方、ロシアは、ウクライナ軍が化学兵器の使用を「準備している」と一方的に主張。露軍がウクライナの攻撃にみせかけて化学兵器を使用する「偽旗作戦」を行うことが警戒されている。
英BBC放送などによると、露軍に2週間以上包囲されているマウリポリでは激しい戦闘によって、市民約30万が市外に脱出できずに取り残されているとされる。食料や衣料品が枯渇しかかっているが、救援物資も届けられない状況だという。
露軍の空爆で多数の避難住民が生き埋めになった恐れのある同市の劇場も、戦闘で救出作業が進んでいない。ボイチェンコ市長はBBCに対し、「ウクライナ軍が可能な限りの防衛をしているが、露軍の方が戦力が大きい」と語った。
露軍はマリウポリを制圧し、「独立」を承認した東部の親露派地域と、2014年に一方的にロシアに併合した南部クリミア半島を陸路で結ぶ思惑だとみられている。
一方、露国防管理センターのミジンツェフ将軍は19日、東部スムイ州の化学工場のアンモニアと塩素の貯蔵庫にウクライナ軍が爆薬を仕掛けたほか、南部ミコライフ州の学校にも有毒化学物質を詰めた容器が運び込まれたとした上で、「露軍が入った際に爆発させ、露軍の仕業にしようとしている」と主張した。
ロシアは侵攻後、「ウクライナが米国の支援の下で生物兵器や化学兵器を開発していた」などと主張。米国やウクライナは一貫して否定している。