サイバー攻撃、船舶運航補償…対応急ぐ損保

ロシアによるウクライナ侵攻で両国周辺を通航する貨物船の危険性が高まり、サイバー攻撃などのリスクも顕在化する中、損害保険各社が対応を迫られている。ウクライナ近海を通航する貨物船の保険料の引き上げや、頻発するサイバー攻撃の損害を補償・防止する保険の普及を急ぐ。ただ、資源価格の高騰が続く上、保険コストが増せば企業活動にも影響を与えかねず、保険各社には繊細な対応が求められそうだ。

東京海上日動火災保険など大手損保各社は、ウクライナ周辺の黒海やアゾフ海を、3月から通航の危険度が高い「除外水域」に指定した。この海域を通る船舶や輸送される貨物は、戦争による物理的被害や経済損失を補償する「船舶戦争保険」の保険料が値上げされる。

保険料は戦況によって通常の数倍高くなることも想定され、海運会社にとっては負担となるため、積み荷や輸送費の高騰を招く恐れもある。日本損害保険協会の船曳(ふなびき)真一郎会長(三井住友海上火災保険社長)は17日の会見で、「保険料が高くなることは経済活動のマイナス要素となる。保険をいかに利用しやすい形にしていくか対応しないといけない」との考えを示した。

一方、ロシアへの経済制裁の一環で、ロシア上空を通過する航空機については運航に関わる保険の引き受けを停止する保険会社が出ている。無保険での運航リスクの高まりを受け、日本航空は9日までに、成田―ウラジオストク線で検討していた臨時便の運航を断念。ロシアからの日本人の帰国ルートを確保しようとしていたが、取りやめた。

また、2月末以降に頻発するサイバー攻撃への保険対応も喫緊の課題となっている。トヨタ自動車やデンソーなどが被害を受けており、帝国データバンクが今月15日に公表した約1500社への聞き取り調査では、サイバー攻撃を「1カ月以内に受けた」とする企業が約3割に上った。急増の要因は明らかではないが、日本の経済制裁措置に対するロシアの報復の可能性も指摘されている。

深刻なのは、中小企業を中心にサイバー攻撃への備えをほとんどしていないことだ。損保協の調査によると、攻撃被害に備える保険に加入する企業の比率はわずか7・8%。トヨタの被害は取引先の部品メーカーへの攻撃が起因となっており、「3月以降は中小からのサイバー攻撃への保険の引き合いが急増している」(大手損保幹部)という。

会員限定記事会員サービス詳細