児童書

『けんかのたね』

ある日、お父さんが仕事から戻ると、家の中は大げんか。犬は猫を追いかけ、4人の子供はそれぞれ相手の非を責め立てるばかりで、収拾がつかないありさま。

各人の言い分を聞いた結果、猫が末っ子をひっかいたことが悪いとされ、猫は大目玉を食らう。納得がいかない猫はそもそもの発端であるネズミに襲い掛かるが、案に相違してネズミは素直に謝る。それをきっかけに、みな少しずつ反省が始まり…。

現実の争いも、原因は小さな事件であることは少なくない。よくできた童話だ。(ラッセル・ホーバン作、小宮由訳、大野八生絵/岩波書店・1430円)

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