自衛隊「宇宙作戦群」編成 対露脅威への備え急ぐ

東京都新宿区の防衛省
東京都新宿区の防衛省

防衛省は18日、宇宙領域での活動強化のため、航空自衛隊府中基地(東京都府中市)に新たに「宇宙作戦群」を編成し、隊旗授与式を行った。ウクライナ侵攻により、宇宙領域の軍事利用で先行するロシアの脅威は一層増すとみられ、自国の人工衛星を守る体制の整備を急ぐ。

空自では宇宙作戦隊が現在、人工衛星に接近するスペースデブリ(宇宙ごみ)などの物体を把握する宇宙状況把握(SSA)の運用準備を担う。新編で人員を20人から70人に増員し、陸海空各自衛隊との情報共有を図る宇宙作戦指揮所運用隊(30人)などを新設。宇宙作戦隊を含めた全体の名称を「宇宙作戦群」とした。

防衛省は来年度には宇宙作戦群を120人体制とし、衛星への電波妨害状況を把握する第2宇宙作戦隊を発足させる。令和5年度にはSSAの本格運用を目指す。鬼木誠防衛副大臣は18日の隊旗授与式後、「小さな部隊からスタートしたが、着実に体制整備を進めている」と強調した。

宇宙領域をめぐってロシアはASAT(エーサット、対衛星兵器)開発で先駆けており、昨年11月には自国の衛星を標的とした破壊実験を行った。2017年から複数回にわたり、北極圏で運用する米国の衛星利用測位システム(GPS)が電波妨害を受け、一時使用不能になった原因としてロシアの関与が疑われている。

中国もASAT開発を進め、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島に妨害電波装置を設置した。日本の通信衛星が狙われれば、防衛だけでなく生活にも支障を来しかねない。

だが、日本の体制整備は緒に就いたばかりだ。ASATなど不審な接近物の兆候をつかむSSAの運用には、総勢1万6千人を擁する米宇宙軍や先行する宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの情報が不可欠な側面もある。

ウクライナ侵攻では民間衛星の撮影画像が共有され、ロシア軍の動向把握に役立ったことが知られている。中曽根平和研究所研究顧問の長島純元空将は「民間衛星が軍事目標になり得るということであり、防護の必要性が増した。今後、宇宙領域をめぐる競争は先鋭化するだろう」と話す。

会員限定記事会員サービス詳細