主張

「防災力」を高める契機に インフラの強靱化が急務だ

福島県沖で16日深夜、マグニチュード(M)7・4の地震が発生し、最大震度6強の激しい揺れが観測された。

新幹線の脱線や高速道路の寸断、関東地域の大規模停電など、福島、宮城両県を中心に東日本の広域に被害は及んだ。

震源と規模は昨年2月の福島県沖地震(M7・3)とほぼ同じで、平成23年の東日本大震災(M9・0)の余震域で発生した。しばらくは同程度の地震の発生を警戒する必要があるという。

緊急地震速報のアラームが立て続けに鳴り、激しく大きな揺れが長く続いた。福島、宮城県の沿岸には津波注意報が発令された。11年前の大震災を思い起こした人も多くいるだろう。

脱線防止に抜本策施せ

転倒や転落で亡くなった人もいる。ブロック塀の倒壊やビルの外壁の崩落など、地震発生が日中であれば人身に危険が及ぶ恐れがある被害も確認された。

命を守ることを最優先に、家具の固定や安全な場所での就寝、緊急時の持ち出し品の再確認、通勤通学の経路や職場も含め、生活圏全体で身の回りの安全確保を徹底することが大事だ。

福島県沖地震は、インフラの地震防災について、多くの問題点を浮き彫りにした。

東北新幹線では、宮城県白石市で17両編成の下り列車のうち16両が脱線した。乗客と乗員にけがはなかった。レールの歪(ゆが)みや線路を支える高架橋の損傷など多くの被害が確認されている。

大惨事にもなりかねない極めて重大な事故であり、脱線の原因究明を急ぐとともに、抜本的な地震対策に取り組む必要がある。

東北自動車道と常磐自動車道も道路の亀裂などで一部区間が通行止めになった。

平成7年の阪神大震災や東日本大震災を教訓に、新幹線や高速道路の耐震強化が進められた。しかし、こうした対策にも経年劣化が起きている可能性がある。

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