【パリ=三井美奈】ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ドイツ連邦議会でビデオ演説を行った。ドイツや欧州連合(EU)の対ロシア制裁は「戦争を止めるには、十分でない」と述べ、ロシア産天然ガスの輸入を続けるドイツを暗に批判した。
ドイツ公共放送ドイチェ・ウェレなどによると、ゼレンスキー氏は「戦争のさなか、ロシアとまだビジネスを続けようという動きがある。あなた方は壁の向こうにおり、壁に阻まれて事態が見えていない」と主張。ロシアの勢力圏と欧州という自由社会の間には、見えない壁があるとの考えを示した。ドイツが露産天然ガスを輸入するパイプラインについて触れ、「ロシアは戦争の資金調達に、あなた方を利用している」とも述べた。
そのうえで、ゼレンスキー氏は「壁」を東西冷戦中のベルリンの壁に重ね、ショルツ独首相に「壁を倒してほしい。ドイツが指導役となれば、後の世代も誇りに思うはず」と呼びかけた。演説後、連邦議員は総立ちで拍手した。ドイツはEU最大の経済国で、ロシア産エネルギーへの依存度が高く、EU制裁のカギを握る。
ゼレンスキー氏は今月1日、EU欧州議会でビデオ演説し、EU加盟を認めるよう要求。16日には米連邦議会で演説している。