経済安保法案 ウクライナ侵攻で重要性浮き彫り 野党にも温度差

衆院本会議で答弁に臨む岸田文雄首相=17日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
衆院本会議で答弁に臨む岸田文雄首相=17日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)

経済安全保障の重要性は、中国の台頭だけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻でも改めて浮き彫りになっている。政府与党は推進法案の成立を急ぎ、日本維新の会や国民民主党も「建設的な対案」を用意して背中を押す。しかし、国会審議が順調に進むかどうかは不透明だ。野党第一党の立憲民主党は法案策定を担った前内閣審議官の不祥事を追及する構えをみせており、波乱要素も少なくない。

2月15日、ウクライナの国営銀行を標的としたサイバー攻撃が発生した。米国は露政府が関与したとの分析を公表している。日本政府関係者は「まさに経済安保推進法案の重要性を考えさせられる事案だ」と話す。

法案の柱の一つである「基幹インフラ」は、金融をはじめとする14業種の事業者に、設備投資の計画書の事前提出を義務づける。サイバー攻撃など安保上の脅威となる機器やシステムが含まれていれば、改善に向けた勧告や命令を出す。中国製品の締め出しが実質的な狙いだ。事業者が虚偽の届け出をすれば罰則を科す。

経済界は法案の必要性に理解を示す一方、審査対応への負担などに懸念を募らせる。今月14日には経団連や日本商工会議所の幹部が政府に、審査対象の絞り込みや中小企業への配慮を求めた。

法案をめぐり、野党には温度差がある。

維新と国民は法案の実効性を高めるための対案を提出した。機密情報の取り扱い資格制度「セキュリティークリアランス」の導入や、罰則のさらなる強化など政府案よりも踏み込んだ内容が並ぶ。政府は「生み出すことが最優先」として、法案に争点化しそうな内容を極力盛り込まなかったが、断続的な法改正も視野に入れている。

立民も「反対しにくい法案」(小川淳也政調会長)との認識が強く、現段階では与野党が全面対決する構図にはなっていない。

ただ、今後の国会審議の行方は不透明だ。法案の策定作業に深く関わった前内閣審議官の藤井敏彦氏の不適切な兼業や飲食などが発覚。政府は停職12カ月の懲戒処分を発表した。同氏は辞職し、政府は幕引きを急ぐが、立民は追及する構えを崩さない。17日の衆院本会議では、立民の篠原豪氏が「法案が不適切な行為のもとでゆがめられたのではないか」と述べ、首相の任命責任をただした。(石鍋圭、岡田美月)

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