トリガー凍結解除「検討」 与党が急転 参院選意識

会談に臨む(左から)国民民主党の榛葉賀津也、自民党の茂木敏充、公明党の石井啓一の各幹事長=16日午後、国会内(矢島康弘撮影)
会談に臨む(左から)国民民主党の榛葉賀津也、自民党の茂木敏充、公明党の石井啓一の各幹事長=16日午後、国会内(矢島康弘撮影)

自民、公明両党が、国民民主が要求していたガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」凍結解除について、16日の3党幹事長会談で「検討」することを合意、表明したのは、夏の参院選を見据えた選挙対策の側面もある。原油高による国民生活への悪影響が長期化すれば世論の不満が募り、選挙に影響しかねない。政府・与党内に慎重論がある中、経済対策の一環としてトップダウンで解除検討を決めた。

自民の茂木敏充幹事長は会談後、凍結解除は検討に値するとの認識を共有したと記者団に説明した。公明の石井啓一幹事長は記者団に「トリガーについて実際に活用(凍結解除)できるような方向に進んだことは非常に大きい」と評価した。ガソリン税に直接関わるため、3党で税制調査会幹部を務める自民・加藤勝信、公明・伊藤渉、国民民主・大塚耕平の3氏による検討チームを立ち上げ、協議に入る。

凍結解除は国民民主が4日の3党党首会談で提案。9日の3党幹事長会談で石井氏が突如「公明党としても必要だと認識している」と慎重姿勢を一転させ、国民民主に賛同した。自民と国民民主との間で話が進み、公明が埋没する事態を防ぐ狙いがあった。12日の党会合では山口那津男代表が「凍結を解除し、利用者に値下げを実感していただくことが必要」と畳みかけた。慎重論が目立った自民内でも、今週に入り前向きな発言が相次いだ。

参院選を控え、与党は物価高を受けた経済対策の打ち出しに躍起だ。政府・与党が15日、予備費の一部を使い、年金生活者に臨時特別給付金を支給する検討に入ったのも、その方向性の一環といえる。

ただ、進め方が性急だとの反発が起きている。同給付金は岸田文雄首相(自民総裁)、麻生太郎副総裁、茂木氏が主導したとの見方が出ており、公明幹部は「やらない方がいい。これは自民からの提案だ」と語る。ある自民幹部も「党内で議論されていない。説明もない」と批判する。

トリガー条項の解除検討に関しては公然と不満が出た。高市早苗政調会長は16日の記者会見で「幹事長会談で何かを決める前に政調会と情報共有していただくという話だった。当然連絡をいただけるものと考えていたが、現段階(午後4時)で私に連絡はない」「3人の幹事長だけで内容を決められるものではない」と不快感をあらわにした。(田中一世、児玉佳子)

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