ロシアが欧州評議会を脱退 報復制裁も発表、「米欧と距離」鮮明

ロシアの外務省は15日、欧州の人権保護などを目的とした国際機関「欧州評議会」(フランス・ストラスブール)から脱退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、同評議会では除名に向けた手続きが取られていた。露外務省はまた、バイデン米大統領やカナダのトルドー首相らのロシア入国を禁じる制裁措置を発表した。

露外務省は声明で「北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)諸国は欧州評議会を反露政策の道具に変えてきた」と主張。ロイター通信によると、同評議会からの脱退は、1960年代後半の軍事クーデターに伴う追放に先んじて脱退したギリシャ(後に復帰)に続き2例目。

同評議会からの脱退で、ロシアには欧州人権条約が適用されなくなり、露国民は欧州人権裁判所に救済を申し立てられなくなる見通し。露国内の人権状況のさらなる悪化が懸念される。

同評議会は49年に設立。ロシアは96年に加盟した。 同評議会は15日、ロシアの除名に向けた手続きを進めていたが、ロシアはこの動きを見越して脱退を通告していた。

また、露外務省は同日、「前例のない一連の制裁」への報復として、バイデン氏のほか、ブリンケン国務長官やオースティン国防長官ら13人にロシア入国を禁じる制裁を発動したと発表した。今後、対象者を拡大するとしつつ、露国益に合致する場合や両国協議の開催などで必要な場合には入国を許可しうるとも説明している。

米国に対してだけでなく、カナダのトルドー首相や政府高官、国会議員ら313人にも同様の理由で入国を禁じる制裁を発動した。

一方、ウクライナメディアによると、ポーランド、チェコ、スロベニア3カ国の首相らが15日、EU代表としてウクライナの首都キエフに列車で到着し、ゼレンスキー大統領と会談した。同国の主権への支持を示したほか、対露制裁の強化についても協議した。

戦況に関しては、激戦が続く南部マリウポリから15日、「人道回廊」で民間人2万9千人が退避に成功。露軍はキエフにも近づいているが、本格的な包囲作戦には乗り出していない。

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