首相記者会見詳報

(1)露ウクライナ侵攻「歴史に刻む非道な行為」

会見する岸田文雄首相=16日夜、首相官邸(矢島康弘撮影)
会見する岸田文雄首相=16日夜、首相官邸(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相は17日、首相官邸で記者会見し、ウクライナ情勢への対応や新型コロナウイルス対策などについて説明した。詳報は次の通り。

「本日は戦争が続くウクライナ情勢への対応と新型コロナ対応についてお話をいたします。まず、ロシアのウクライナへの侵略について申し上げます。ロシアの今回の暴挙は歴史に刻むべき非道な行為です。自由、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜くため、わが国は断固としてこれを糾弾いたします。そして米国や欧州など先進7カ国(G7)と連携して、事態の展開にあわせて機動的に厳しい対露制裁措置を講じてまいります。

こうしたわが国を含めた国際社会の一致団結した怒りの声、制裁措置に対し、ロシアは対抗措置を取りはじめました。原油やガスの国際市場は急騰し、世界中の消費者や経済を直撃しています。穀物市場をはじめ食料関連市場も逼迫(ひっぱく)するとの見方が広がっています。エネルギーと食料の純輸入国であるわが国の経済と生活への打撃が懸念されます。しかし、ウクライナ国民とともにあることを示すためにも、そして、国際社会の平和と秩序を守り抜くためにも、ロシアの揺さぶりや脅かしに屈することは決して許されません。われわれは侵略と戦い、祖国を守るため懸命に行動するウクライナの人々を断固たる決意で支援をいたします。

今こそ省エネやウクライナからの避難民の受け入れをはじめ、国民の皆さんのご協力が不可欠です。政府としても、そうした国民の皆さんのご協力に応えるべく、そして国民の皆さんへの経済的打撃をできる限り小さくするため、ありとあらゆる政策を思い切って講じてまいります。以下、具体策を3点申し上げます。

1点目はロシアに対する制裁のさらなる強化です。先般、G7首脳で発出した声明を踏まえ、ロシアに対して外交的、経済的圧力を一層強めます。このため、法令上の措置を含め、必要な対応を行います。具体的には次の5項目に取り組みます。

第1に、ロシアに対する貿易優遇措置である最恵国待遇を撤回いたします。

第2に、輸出入管理をさらに強化いたします。ロシア向けのぜいたく品の輸出禁止を行うとともに、ロシアからの一部物品の輸入を禁止します。今後、速やかに対象品目を特定いたします。第3に、IMF、世界銀行、欧州復興開発銀行を含む主要な多国間金融機関からロシアが融資を受けることを防ぐようG7で連携して取り組んでまいります。第4に、プーチン大統領に近いエリート層や財閥『オリガルヒ』などに対する資産凍結の対象の範囲をさらに拡大いたします。第5に、デジタル資産などを用いたロシアによる制裁回避に対応するため、暗号資産交換業者などの協力を得て金融面での制裁をさらに強化いたします。

2点目はウクライナの方々への支援です。ウクライナおよび周辺国に対し、1億ドルの緊急人道支援を行います。国連難民高等弁務官事務所、UNHCRなどの国際機関と連携して侵略に負けず懸命に生きるウクライナの方々へ、食料、衣料品など必要な支援をお届けいたします。難民を助ける会をはじめとする日本のNGOとも連携して支援を進めてまいります。ウクライナ側からの新たな要請を踏まえ、医療用資材、双眼鏡などの装備品を追加で供与いたします。本日、ウクライナへの輸送を開始しました。さらに防弾チョッキ等を米軍機が輸送しています。ウクライナ国民とのさらなる連帯を示してまいります。

3点目はウクライナから避難された方々のわが国での受け入れ体制の整備です。320万人を超えるウクライナの人々が避難を強いられていることに心を痛めた多くの自治体や企業、そして民間団体の方々から、避難民の受け入れに協力したいとの心強い声が上がっています。私が先週訪れた東北の被災地では、被災自治体の首長の方々から東日本大震災のときにはウクライナの方々から温かい支援をいただいた。今度は私たちがその恩をお返ししたいといった声を直接いただきました。

日本には『困ったときはお互いさま』という言葉があります。政府としても、この精神で、ウクライナからの避難民を積極的に受け入れてまいります。このため官房長官のもとに、ウクライナ避難民対策連絡調整会議を設置いたしました。この会議を司令塔として、関係省庁が連携して、ウクライナ避難民と、受け入れ先のマッチングなどウクライナ避難民の円滑な受け入れと生活支援を行ってまいります。既に、出入国在留管理庁にウクライナ避難民への支援の申し出を受け付ける窓口を設けました。多くの皆さんの力を集め、ウクライナ避難民の皆さんの助けになりたいと思います。

ロシアによるウクライナ侵略の影響によるわが国経済、暮らしへの影響を緩和する対策については、既にガソリン価格を172円程度に抑える激変緩和措置など当面の対応を決定し、国民の皆さんにお届けしています。今後も原油価格、原材料価格、食材価格などへの波及の状況を注視し、状態が長引く場合には、さらに機動的に対応してまいります」

=(2)に続く


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