「推薦願たくさんきている」維新、地方選で影響力 参院選へ勢い続くか

石川県知事選で初当選を決め、万歳する馳浩氏(中央)=14日未明、金沢市
石川県知事選で初当選を決め、万歳する馳浩氏(中央)=14日未明、金沢市

日本維新の会が本拠地の大阪以外への浸透に自信を深めている。2月の長崎県知事選に続き、今月13日の石川県知事選でも推薦候補が接戦を制し、他の地方選でも応援依頼が殺到している。ただ、関西圏で勢力を伸ばす上で重視している兵庫県西宮市長選(20日告示、27日投開票)で独自候補を立てたとしても勝利は容易ではない。また、国政で存在感が低下していく可能性もあり、夏の参院選まで勢いを維持できるかが注目される。

「『維新スピリッツ』を持った首長が続々と誕生している」。馬場伸幸共同代表は15日の党会合で、維新が推す地方自治体の長が相次ぎ誕生していると報告し、連携を訴えた。

維新は石川県知事選で、元自民党衆院議員で文部科学相を務めた馳浩氏を推薦した。維新が重視する報酬や退職金のカットへの意欲の高さも決め手となった。

維新の動向が特に注目を集めたのは、石川と長崎が保守分裂選挙に伴う接戦となったからだ。維新幹部は「われわれの推薦が勝利への最後の一押しとなることはある。同じような構図の地方選は他にもあり、推薦願はたくさんきている」と説明。「(推薦候補の当選は)地方に足場がない維新にとっても、非常に良い効果を生む」とも語る。

一方、関西圏では影響力の高まりが自民や立憲民主党などの警戒を招いている。維新は大阪に続き兵庫でも支持を固めようと、西宮市長選に新人を擁立する方針だ。しかし、現職を推す自民の兵庫県連関係者は「維新はポピュリズムだ。何もかも『カット』をすればよいというものではない。大切なのは住民サービスを向上させることだ」と対抗心をむき出しにする。

国政では安倍晋三、菅義偉両政権とは異なり、「改革意識が低い」と評する岸田文雄政権との関係がギクシャクしている。岸田政権が誕生するまでの維新は、重要法案や憲法改正の対応で政府与党と歩調を合わせて独自の存在感を示してきた。しかし、岸田政権に対しては国民民主党がガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を求めて接近しており、従来の維新の立ち位置を担う可能性がある。(内藤慎二)

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