ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ウクライナの都市表記でロシア語読みをやめる動きが欧米メディアなどで広がっている。首都キエフ(Kiev)は「キーウ」(Kyiv)など、ウクライナ語読みに変えることで同国支持を明確にし、ロシアに抗議する意味合いがある。(桑村朋)
英紙ガーディアン(電子版)は2月25日、「キーウの発音、表記の重要性」を伝える記事を掲載。キーウ表記は「自分たちのアイデンティティーへの敬意と考える」とのウクライナ人の声を紹介し、世界ができる支援は「露軍に包囲された都市をウクライナ語で呼ぶことだ」などと訴えた。
侵攻が始まった2月24日以降、英大手ニュースサイトのインディペンデントや仏紙リベラシオンなどの欧米メディアが表記をウクライナ語読みに変更。このうち、米公共ラジオは「脅迫的な隣国ロシアの言葉を使うのは、ウクライナに無礼だ」とし、表記変更で露に抗議を示すべきだとした。
実は同様の動きは数年前からあった。
ウクライナ外務省は2018年、母国語読みを広める「キーウはキエフではない」運動を開始。各国の政府や空港に英語表記などの変更を求め、ツイッターでも訴えを拡散した。その結果、米国政府が19年、キエフとの併用をやめキーウ表記に一本化すると決定。世界の主要空港や、英BBC放送や米CNNなどのメディアも追随した。露軍の侵攻以降、この動きに拍車がかかった形だ。