ウクライナ西部へ露からの長距離爆撃 「攻撃目標拡大」国防総省分析

米国防総省のカービー報道官は14日の記者会見で、ロシア軍によるウクライナ西部リビウ州の軍事演習施設への空爆について、ロシア領空から発射された巡航ミサイルによる長距離爆撃だったことを明らかにした。報道官は、11日の軍用飛行場空爆に続く西部の空爆で「ロシア軍が攻撃目標の設定を拡大させている」と警戒感を示した。

ただし、報道官は西部の相次ぐ空爆が米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国によるウクライナへの軍事支援に影響を与えるものではないと強調。空爆された施設は複数ある輸送路に含まれていないとし、迅速かつ最大限の支援を続けると強調した。米国含む14カ国が軍事支援に参加している。

国防総省によると、リビウ州の演習施設でウクライナ軍の訓練を指導した米国のフロリダ州兵は侵攻前に撤収し、空爆当時は米国の軍人、業者、政府職員らはいなかったという。

同省高官は14日の戦況説明で、ウクライナの制空権は激しく争われているとし、露軍はウクライナを上回る戦闘機の出撃を続けながら、航空優勢は獲得していないとの見方を示した。

高官は、ウクライナの反撃を支える追加武器供与について同盟諸国と協議を続けていると語った。一部の東欧諸国が保有するロシア製の地対空ミサイルシステムS300の供与も検討されているとみられる。

一方、高官は、首都キエフの包囲を狙う露軍について、市中心部から北西約15キロ、東方20~30キロの地点でそれぞれ部隊は動きを止め、ウクライナ軍の激しい反撃を受けていると指摘した。

侵攻開始から発射されたミサイルは900発を超えた。高官は、露軍が包囲を強める東部マリウポリ、ハリコフを含めた都市での制圧作戦が「ますます無差別的な長距離爆撃を使い、これまで以上に破壊的となっている」と指摘。民間の犠牲者を増やしていると非難した。(ワシントン 渡辺浩生)

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