ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナ国営エネルギー企業は14日、露軍による制圧後に停電が起きた北部チェルノブイリ原発をめぐり、13日にウクライナ側が送電設備を復旧したものの、14日に露軍が送電線を再び損傷させたと発表した。損傷した詳しい経緯は不明。その後、ウクライナ側が送電線を改めて復旧したという。南部ザポロジエ原発でも同日、同原発を制圧した露軍が敷地内で弾薬を爆発させた。
チェルノブイリ原発では9日に停電が発生。国際原子力機関(IAEA)は停電が続いた場合でも安全性に問題はないとしている。
一方、IAEAによると、ザポロジエ原発での爆発に先立ち、ウクライナ側は同原発でロシア軍が戦闘で生じた不発弾を探していると報告していた。爆発は不発弾処理の可能性があるが、IAEAは「爆発の情報を懸念しており、情報を求めている」とした。ウクライナメディアによると、爆発後の周辺の放射線量の変化は不明。
露軍による原発での戦闘などについて、IAEAや米欧諸国は危険な行為だと非難してきたが、ロシアは聞き入れない構えだ。ロシアは原発を掌握し、電力供給を断ってウクライナ側の戦意をくじく思惑があるとする見方や、「ウクライナが核兵器を開発していた」とする自身の一方的な主張の正当化を図っているとの見方が出ている。
一方、ロシアとウクライナの4回目の停戦交渉が14日、オンライン形式で行われ、双方は15日も交渉を継続することで一致した。停戦交渉をめぐっては双方が前進への手応えを示しているが、実際に具体的な成果が得られるかは不透明だ。
戦況では、ロシアは南部のマリウポリとミコライフに激しい攻撃を継続。首都キエフ包囲に向けた準備も進めているとみられる。