〈独自〉大阪「グリ下」の未成年、相次ぐホテル不正滞在 警察が立ち入り指導も

戎橋下の遊歩道、通称「グリ下」にたむろする若者ら=大阪市中央区(一部画像処理しています)
戎橋下の遊歩道、通称「グリ下」にたむろする若者ら=大阪市中央区(一部画像処理しています)

大阪・道頓堀にあるグリコ看板下の遊歩道「グリ下」に集う未成年たちが、近くのホテルに1人分の料金を支払い、複数人で不正に長期滞在するケースが相次いでいることが、大阪府警への取材で分かった。ホテル側の夜間の管理態勢が不十分で未成年らに悪用されている恐れがあり、府警少年課や大阪市保健所などは14日、ホテルの立ち入り指導を実施した。

「複数の少年が泊っている状況があれば、家出少年の疑いがあるので警察に通報してください」。14日午後、道頓堀界隈のビジネスホテルに入った捜査員らは宿泊者名簿を確認し、未成年者が宿泊する場合は保護者に確認するなど対策の徹底を呼び掛けた。

捜査関係者によると、会員制交流サイト(SNS)を通じて全国からグリ下に集まった未成年らの一部が、近くのホテルを利用。1人分の宿泊料金しか支払っていないにも関わらず、カードキーを使いまわしたり、裏口から部屋に侵入したりして複数人で長期間宿泊していたという。

府警は昨年10月以降、グリ下周辺の見回り強化や一斉補導を実施したところ、ホテル宿泊中に性被害に遭ったり、宿泊費を稼ぐために大人とのデートの見返りに金銭を受け取る「パパ活」や売春などに手を染めたりする未成年を確認。これを受け、昨年11月~今年1月、周辺の宿泊業者に対策の徹底を要請した。

旅館業法に基づきビジネスホテルの立ち入りを実施する捜査員ら=14日午後、大阪市中央区
旅館業法に基づきビジネスホテルの立ち入りを実施する捜査員ら=14日午後、大阪市中央区

しかし、一部のホテルでは依然として少年らによる不正利用が続いていることが判明。ホテル側の管理も不十分だった可能性に加え、府警幹部は「未成年の間で不正に泊まれるホテルがSNSで情報共有されている。ホテル側も対策を講じようにもいたちごっこが続いている」と指摘する。

こうした状況を踏まえ、府警と市保健所などは旅館業法に基づき、対策が不十分と判断したホテル計3軒に対し、17日までに立ち入り指導を行う方針。

一部屋に10人「帰りたくない」

グリ下に集う未成年たちはなぜ、帰宅せずホテルに泊まるのか-。複数人でグリ下近くのホテルに宿泊したことがあるという少女が産経新聞の取材に応じ、「厳しい親に会いたくなかった」などと胸の内を語った。

「家に帰りたくないときに、友達と一緒にホテルに泊まった」。大阪市北区の高校1年の女子生徒は、こう打ち明ける。

女子生徒がグリ下に通い始めたのは昨年9月ごろ。厳しい親に嫌気がさしていたとき、会員制交流サイト(SNS)で似たような事情を抱える若者が集うグリ下の存在を知った。

グリ下には、土日の昼間に集まることが多い。そこで知り合った友人らとは、ファッションなど共通の話題もあり、一緒にいるのが楽しかった。あっという間に時間が過ぎたが、親の顔を思い浮かべると家に帰りたくなくなった。

女子生徒はこれまでに、友人らとともに5回ほど近くのホテルに泊まった。支払う宿泊料金は1人分のみ。フロントの目を盗んで部屋に侵入し、カードキーをみんなで使いまわした。一部屋に10人ほどで泊まったこともあった。

友人からは滞在中のホテル内で性被害に遭ったと聞いた。それでも、女子生徒は「ホテルでお酒を飲みながら夜な夜な語るのが楽しい」と話す。

グリ下を管轄する南署が昨年、家庭の事情を理由に未成年を児童相談所に引き渡す身柄付き通告の件数は、前年の2倍の38件。グリ下に若者が集うようになったことが影響しているとみられる。

府警幹部は「未成年が長期間ホテルに滞在すると、犯罪に巻き込まれる危険性がある。地域の関係機関と連携し、少年犯罪の早期発見と被害の未然防止に尽力したい」としている。(木下未希)

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