露ウクライナ交渉継続 マリウポリで人道回廊

ウクライナ西部リビウ州当局は13日、ロシア軍がリビウ西方のヤボリウにある軍事演習施設「国際平和維持・安全保障センター」をミサイル攻撃し、少なくとも35人が死亡、134人が負傷したと発表した。露国防省は外国から供給された大量の兵器を破壊したと表明。米欧によるウクライナ軍への兵器提供の阻止を狙ったとみられる。

ロシアとウクライナの高官レベルの停戦交渉は14日もオンライン形式で行われたが、一時中断し、15日に再開することになった。ウクライナのゼレンスキー大統領は14日までに「プーチン露大統領との直接交渉の実現」を目指していると明かし、交渉に参加する露下院議員は13日、「近く何らかの合意文書に署名する可能性がある」としていた。

ヤボリウは北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドの国境から約20キロに位置し、演習施設にはミサイル30発以上が撃ち込まれた。施設では侵攻前、NATO軍とウクライナ軍が合同訓練を実施。同国のレズニコフ国防相は施設で「外国人の教官が働いていた」と述べた。

タス通信によると、ロシアのリャプコフ外務次官は12日、「ウクライナへ供与された兵器の輸送部隊は攻撃対象になると米国に警告した」と国営テレビに発言していた。

露軍は11日にもウクライナ西部の飛行場2カ所を空爆。西部ではリビウをはじめこれまで戦火がほとんど及んでいなかったが、戦線拡大で市民の避難や物資供給への影響が懸念される。

また英国防省は13日、露海軍が黒海のウクライナ沿岸を封鎖したとの分析を公表した。同国を海上交易から孤立させる狙いがあるとみられる。

ロイター通信によると、露軍に包囲されている東部マリウポリで14日、「人道回廊」が設置され、160台以上の車が脱出した。ただ、ウクライナ政府当局者によると、マリウポリでの死者は同日までに2500人に上った。英メディアによると、露軍が先週爆撃した現地の産科・小児科病院で負傷した妊婦とその胎児は死亡した。

北部イルピンの警察当局は13日、米国人ジャーナリストが取材中に露軍の攻撃で死亡したと発表した。

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