近現代の世界史と日本史を相互に学びつつ、主体的な考察力を育てることを目的とした「歴史総合」。今年春から全国の高校で必履修となるこの新科目ではないですが、「世界史の中の日本史」を考えることによって幕末維新ばかりか、現代の禍機をも読み解くことができるのではないか。先日、長年にわたる研究仲間の高木不二さんから送られてきた自身のこれまでの研究成果を振り返った私家版の回想録をひもといたとき、そう感じました。
マルクス主義の大欠陥
この回想録の卓抜さの一つは、米国の著名な社会学者、イマニュエル・ウォーラーステイン(1930~2019年)の著作のエッセンスが実に分かりやすく、コンパクトにまとめられていることです。