前代未聞 ミレーの「種をまく人」オリジナルとクローンを同時展示 山梨県立美術館

ミレーの「種をまく人」のクローン文化財を鑑賞する山梨県の長崎幸太郎知事=7日、甲府市(平尾孝撮影)
ミレーの「種をまく人」のクローン文化財を鑑賞する山梨県の長崎幸太郎知事=7日、甲府市(平尾孝撮影)

実際に、オリジナルとクローン文化財の「種をまく人」を見比べても、素人目にはわからない。違いがはっきりしているのは、オリジナルの表面はガラス張りだが、クローン文化財はガラス張りではないということぐらい。

プロジェクトメンバーの東京芸大COI拠点の小俣英彦特任准教授が「ルーペを使えば違いは分かるが、普通に鑑賞するだけでは、専門家でもどちらがオリジナルか、判別できないこともあるのではないか」と説明するほどの仕上がりだ。

デジタル化活用の一環

クローン文化財は、文化継承という大きな目的があるもののあくまで複製。オリジナルを保有する美術館が、複製を同時に展示することは異例だ。専門家によれば「本物を鑑賞したいからこそ、愛好家が保有している美術館に足を運ぶのが一般的。基本的には本物を保有する美術館がオリジナルと複製を同時に展示する意味はない」という。

これについて同館の太田智子学芸員は「現在進めているミレーの作品の超高精細画像化の活用事業の一環」と説明する。すでに「種をまく人」以外のミレー作品数点で高精細データ化を終えており、デジタル化後の活用を探っている。

今回の「種をまく人」のクローン文化財は同館に寄託される。15日からの企画展では計画されてはいないが、目が不自由な人にクローン文化財を手で触ってもらいミレー作品を実感してもらうといった活用や、教育、文化活動の一環として、外部展示するなどの可能性もあるという。

ただ同館では、現時点では他のミレー作品をクローン文化財にすることは決めていない。今回はオリジナルとクローンの違いを実際に見比べる貴重な機会になるかもしれない。(平尾孝)

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