大阪名物「粉もん」値上げピンチ ウクライナ影響

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、お好み焼きやたこ焼きといった関西の食文化「粉もん(粉もの)」への影響が懸念されている。小麦輸出大国である両国の有事で小麦価格が急騰し、原油高によりソースなどの調味料類の値段も上昇。大阪の飲食店では値上げやメニューの見直しを検討する動きが出ているほか、たこ焼きなどの総菜を販売するスーパーマーケットからは「価格の維持は困難」との声が上がっている。

「(今後さらに原材料の価格が上がるなら)コストを吸収しきれず、経営が圧迫される恐れがある」

こう語るのは、お好み焼きチェーン「鶴橋風月」を展開するイデア(大阪市天王寺区)の関係者だ。同社は、お好み焼きなどの値上げや商品変更の検討を始めた。

提供するお好み焼きの価格は店ごとに異なるが、現在、大阪市の「なんば御堂筋グランドビル店」では「ぶた玉」が837円(税込920円)、「チーたまぶたモダン」が1437円(税込1580円)-などとなっている。

背景にあるのは、ウクライナ情勢の緊迫化で原料となる小麦の価格上昇などに拍車がかかっていることだ。天王寺区にある本店では、1日最大約6キロの小麦粉を使っており、足元では小麦粉などの主要品目が10~20%値上がりしているという。

農林水産省の食料安全保障月報(2月)によると、欧州連合(EU)を除いた小麦の最大の輸出国はロシアで、ウクライナは3位。両国が世界の輸出量の3割を占める。

ウクライナ侵攻後、小麦の供給量が減ることへの懸念などから、米シカゴ商品取引所の先物市場で小麦の価格が急騰。農水省は今月9日、輸入小麦を今年4~9月に民間に売り渡す価格について、前期(昨年10月~今年3月)に比べ約17・3%引き上げることを発表した。

小麦の価格のほか、原油高で輸送費や光熱費も上昇している。生産や物流のコスト増大は、ソースなど調味料類の価格の上昇要因にもなっている。

お好み焼き以外の大阪名物の「粉もん」では、たこ焼き店などが値上げに動いている。

ほかの粉ものを扱う外食では、うどん店チェーンのグルメ杵屋の広報担当者が、うどんに加え「そば粉などにも影響が出てくる可能性がある。(仕入れ値の)上がり幅次第だが、商品の値上げも検討する選択肢の一つとなってくる」と話す。

たこ焼きなど粉ものの総菜や、家庭で調理するための食材を扱うスーパーマーケットからも悲鳴が上がる。大阪市内のあるスーパーの担当者は「総菜は利益の薄いぎりぎりの値段設定で提供している。小麦粉だけでなくソースや油、食品全般の値段が上がるとみており、現在の価格の維持は無理だろう」と話している。(井上浩平、田村慶子)

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