朝晴れエッセー

前略 見知らぬ先輩へ・3月13日

冬晴れのある日、新聞社から封書。何だろうと開けると一葉のはがきが。

それも「転居前の住所→送り主に返送→新聞社に転送依頼→わが家へ」。いつもより長い旅をし私の元に届いたのは、名前も知らない高校の7学年先輩からの「朝晴れエッセー」欄に掲載されたことへの祝福と励ましのお便りだった。

故郷への思いをつづった「かんころもちの唄」を載せていただいた折、同僚や友人たちがLINE(ライン)やメールで祝福してくれた。

でもなぜ? 長崎出身とは書いたものの、市町村や高校名は書いてなかったのに…。なんて不思議でうれしいことだろう。

わざわざ古い同窓会名簿を探し、私の名前を見つけ送ってくださったはがきは、当日の掲載紙と一緒に大切にしまっておこう。隣の島にお住まいだった先輩、ありがとうございました。私は大島ですよ。

崎戸と大島は中戸大橋でつながる、ともに炭鉱で栄えた小さな島である。黒いダイヤと呼ばれた石炭の町で、父親たちは真っ黒になって昼夜交代で働いていた。

昭和50年代に相次いで閉山した後は、毎日のように桟橋で島を離れる友を見送り、過疎化は進むばかり。

かくいう私も、高校卒業後はめったに帰ることもなく、島に暮らす友人たちからのラインを待ちわびる日々。先日は小学校の閉校の知らせが届いた。炭鉱最盛期には2島で7校あったのが次々と統合され、この春には1校になるという。

先輩、寂しいけれど母校が一緒になったね。どうかお元気で。


川合春美(64) 奈良市

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