海遊館diary

「ウニでも採るんか」と間違われるクラゲ採集

アカクラゲ(海遊館提供)
アカクラゲ(海遊館提供)

海遊館のクラゲ展示エリア「海月銀河(くらげぎんが)」は、真っ暗な空間の中で水槽にぽっかり浮かぶクラゲの様子が、宇宙の銀河のように見えることから名付けられました。ここでは常時15種類ほどのクラゲをごらんいただくことができます。

では、このクラゲたち、どこからやってきたのでしょうか? 実は他の水族館から譲り受けることもありますが、多くは私たち飼育員が海に出向き、採集しているのです。

海遊館では月に1回程度、大阪湾に出現するクラゲの調査も行っています。数カ所のポイントを回りながら、確認したクラゲの種類や数、海の様子、水温を記録します。

クラゲは遊泳力が弱く、潮の流れや風の影響を受けるため、現地に行くまで遭遇できるかどうかわかりません。採集に使う長い特製の柄杓とバケツを持ってウロウロする姿はかなり怪しいのか、地元の方から「何しとるん?」「ウニでも獲るんか?」とよく声をかけられます。「水族館で展示するクラゲを採集しています」と説明すると、すぐに「あぁ! 海遊館か」と言っていただき、とてもうれしくなります。

そして、事前に許可をいただいた場所で「これ!」という種類を見つけたら柄杓でクラゲを水ごとすくい、バケツにそっと移します。水をバシャバシャさせると傷ついたり、傘の中に空気が入り込んだりして弱ってしまうので、1個体ずつよく確認し、運ぶときも細心の注意を払います。

こうして海遊館の水槽に運び入れ、お客さまにごらんいただいているというわけです。

冬から春にかけては、特に多くの種類が見られるので、「クラゲ担当兼クラゲ推し人間」としては仕事とはいえ、非常に楽しい季節です。これから春先にかけてはカブトクラゲやカミクラゲ、早ければアカクラゲやミズクラゲが見られるかもしれません。

みなさんも海に行かれたら、岸壁をのぞき込んでクラゲを探してみてはいかがでしょうか?(刺されたら大変なので、見るだけにしてくださいね)

さて、海遊館ではクラゲの採集だけではなく、繁殖にも取り組んでいます。海遊館生まれのクラゲについてはまた次の機会に。(魚類担当飼育員 山下佳苗)

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