囲碁の第46期棋聖戦七番勝負の第6局が10、11の両日、神奈川県箱根町で行われ、井山裕太棋聖(32)=5冠=が236手までで、挑戦者の一力遼九段(24)に白番中押し勝ちし、対戦成績を3勝3敗とした。最終第7局は17、18日に京都市で打たれる。
1勝3敗とカド番に追い込まれてから連勝し最終局にもつれこんだのは、昨夏の本因坊戦七番勝負と同じ状況。そのときは第7局で芝野虎丸九段に勝ち、趙治勲(ちょう・ちくん)二十五世本因坊に並ぶ歴代1位の本因坊10連覇を果たした。自身が登場する七大タイトル戦は本因坊、碁聖、名人、王座に次ぎ5棋戦連続でフルセットを戦うことになった。
東日本大震災が起こった平成23年3月11日も、井山は第35期棋聖戦の第6局を打っていた。対局地の甲府市は、東北や関東地方に比べれば揺れが大きくなかったため打ち続けられ、同日夜に終局。張栩(ちょう・う)棋聖(当時)に防衛を許した。ただ負けたことよりも、対局場の外での被害状況を初めて見聞きし、ショックを受けたという。その2年後、第37期で獲得した棋聖位を井山は9期にわたって守り続けている。
一方、一力は昨年の碁聖戦で井山に、天元戦では年下の関航太郎天元(20)に敗れ無冠になっているだけに、踏ん張りどころ。2日かけて打つタイトル戦3度目の挑戦での初制覇をかけ、最終局に臨む。