シネマプレビュー

「THE BATMAN-ザ・バットマン-」ほか3本

映画「THE BATMAN-ザ・バットマン-」©2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC
映画「THE BATMAN-ザ・バットマン-」©2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC

公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「プレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。

「THE BATMAN-ザ・バットマン-」11日公開

スーパーマンらと共演した企画ものを除くと、10年ぶりになるバットマンの新作。監督は「猿の惑星:新世紀」などのマット・リーヴス、主演は「TENET テネット」などのロバート・パティンソン。

主人公のブルース・ウェインは、かつてないほど孤独で影がある設定だ。が、日本の中高年は驚かない。矢吹丈(じょう)も星飛雄馬(ひゅうま)も昭和40年代の日本の少年漫画の主人公は実は皆、そうだった。誰もがひとりぼっち。過去を引きずり、影があった。そして、本郷猛や伊達直人は、仮面で正体を隠し、独りで敵と戦った。

パティンソンのウェインも過去の怒りや悲しみを抱き、仮面をかぶりバットマンとして単身、暴力や不正と闘う。二輪車を駆使するので、まさに仮面ライダー。人命救助に尽力する姿は気高く崇高だ。スーパーヒーローやアンチヒーローがはやりのハリウッドだが、どちらでもない。これは「正義の味方」の映画だ。

劇伴音楽のまがまがしさはやりすぎ。幕開けはやや不穏な映像が続くが、全般に暴力の直接的な表現は避けている。米映画。

11日から東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマなどで全国公開。2時間56分。(健)


「林檎とポラロイド」11日公開

映画「林檎とポラロイド」の一場面(C)2020 Boo Productions and Lava Films
映画「林檎とポラロイド」の一場面(C)2020 Boo Productions and Lava Films

記憶喪失がウイルスのように蔓延している社会を描いた寓話的コメディードラマ。突然記憶を失った男が治療のための回復プログラムに参加し、「自転車に乗る」などのさまざまなミッションをこなしながら、その経験をカメラに記録することに…。

主人公が記憶を新たに作りながら、自分の存在を再構築していくという深遠なテーマが込められた作品。監督はギリシャの新鋭、クリストス・ニク。オリジナル脚本で創り上げた長編映画デビュー作で、ハリウッド進出となる2作目の企画が進行中。ギリシャ、ポーランド、スロベニア合作。

11日から東京・新宿武蔵野館、大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。1時間30分。(啓)


「アンネ・フランクと旅する日記」11日公開

映画「アンネ・フランクと旅する日記」の一場面(C) ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND
映画「アンネ・フランクと旅する日記」の一場面(C) ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND

第二次大戦下、ユダヤ人の少女アンネ・フランクが空想の友人、キティー宛てに隠れ家での生活などをつづった不朽の名作「アンネの日記」。2009年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界記憶遺産」にも登録された。

本作ではキティーが日記の中から現代に姿を現し、親友であるアンネの生涯をたどるという新たなアプローチで製作されたアニメ映画。現代の移民問題も切り込み、これまでの〝アンネ〟作品とは一線を画す。脚本・監督はアリ・フォルマン。ベルギー、フランス、ルクセンブルク、オランダ、イスラエル合作。

11日から東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。1時間39分。(啓)


「階段の先には踊り場がある」19日公開

映画「階段の先には踊り場がある」©LesPros entertainment
映画「階段の先には踊り場がある」©LesPros entertainment

長編はこれが2本目の33歳の監督と20、30代の若手の俳優による、やたらと会話部分が長い恋愛映画。

前半は、カメラが固定された場面でおしゃべりばかり聞かされる。どうなることかと心配したが、脚本と編集も手掛けた監督の木村聡志、中盤で、ある種明かし。見事に物語を動かし、終わってみれば、冒頭で語られるニーチェの名言「きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある」の通りの人生ドラマだ。

主演の植田雅(みやび)、平井亜門、手島実優、細川岳、朝木ちひろの芝居が素人くさく見える人がいたら、それは演技達者ゆえに出せたリアリティーに違いない。

19日から東京・池袋シネマ・ロサで公開、その後全国で順次公開予定。2時間12分。(健)

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