ウクライナ侵攻の影響7割懸念 資源高騰、物流混乱

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、大阪商工会議所は11日、主要会員企業の半数超がビジネスに影響が出ているとする調査結果を公表した。「今後影響がある」と回答したのは7割以上だった。各企業からはエネルギーや原材料価格の高騰、物流への混乱を懸念する声が多く、長期化への不安も広がっている。

軍事侵攻を受けたビジネスの影響について「現在影響がある」と回答したのは51・1%。「今後影響がある」としたのは73・3%に上った。大商の担当者は「想定以上に直接、間接の影響が出ている。軍事侵攻以前から経営のマイナス要因だったエネルギーや原材料価格高騰の問題にさらに拍車がかかった」と述べ、警戒感を示した。

現在出ている影響として最も多く挙げられたのは、世界的な原油や液化天然ガス(LNG)の価格上昇を受けた「エネルギー価格のさらなる高騰」。3割以上の企業が影響があったとしている。エネルギー価格は設備の稼働や輸送費に直結し、幅広い分野で利益の下落要因となる。

今後の影響として、エネルギー価格高騰と並んで挙げられたのが、「物流の混乱・コスト上昇」で57・8%だった。多くの航空会社がロシア領空の通過を回避し、一部で欠航も出ていることから「欧州からの空輸生鮮品便がストップしている。航路を変更すれば運賃の大幅値上げになる」(卸売業)という不安の声があった。

そのほかにも、軍事侵攻前から続く世界的な半導体不足に加え、さまざまな部材調達が停滞することに警戒が広がる。ある運輸業者は「製造事業者の製品納期への影響が懸念される」と回答した。

こうした課題について、対応策を取るとした企業が4割を超える一方、「現時点では分からない」と答えたのは3割超。少なくない企業が対応の検討に苦慮しているとみられる。

調査は、大商の主要会員企業148社を対象に3月4~8日に実施。45社から回答があった。(岡本祐大)

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