ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領は10日、対露制裁対策を協議する政府会議を開き、ロシアから撤退を表明した外国企業の生産設備をロシアが管理し、事業を継続すべきだとする露政府の提案を支持した。事実上、外国企業の保有資産の一方的な「国有化」で、実行した場合、ロシアへの国際的非難がいっそう強まるのは確実だ。
会議でミシュスチン首相は「生産停止を防ぐ法案を準備した。不当に閉鎖した企業に政府が外部管理者を送り込むことを想定している」と報告。プーチン氏も「断固として露供給者の損害を防がねばならない」とし、外部管理者を送り込んだ後、事業を望む人物に企業を譲渡すべきとの考えを示した。
露経済紙RBK(電子版)は9日、入手した法案を基に、事業を停止した企業には3カ月間、事業を清算する企業には6カ月間、政府が外部管理者を送り込み、事業再開に応じない場合は別の所有者に株式が譲渡される-などと報じた。
インタファクス通信によると、露非鉄金属大手ノルニッケル所有者で富豪のポターニン氏は10日、「ロシアを旧ソ連に戻すものだ。国際的不信を招き、ロシアは今後何十年も苦しむ」と批判的な考えを示した。
米国のサキ大統領報道官は9日、国有化を実行した場合は「対抗措置を取る」と警告した。