【ワシントン=大内清】米国務省は9日、ロシアのプーチン政権が「米国とウクライナが同国内で化学・生物兵器の開発を行っているというまったくの偽情報を意図的に拡散させている」と非難する声明を発表した。声明は、中国政府もこれに便乗して陰謀論を広げようとしていると指摘。「ロシアは自分自身の残虐行為を正当化しようと噓をでっち上げている」と糾弾した。
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、ネット上ではこのところ、「新型コロナウイルスの新種を開発している米国の研究所を破壊するためだった」などとする陰謀論が広がっていた。
国務省は「米国はウクライナ国内に化学あるいは生物研究施設を所有も運営もしていない」と言明した上で、生物・化学兵器の開発や貯蔵を禁じる国際条約に違反する物質を「実際に保有しているのはロシアだ」と強調した。
ロシアは2018年に起きた露情報機関元将校らへの襲撃事件や、20年の露反体制派指導者ナワリヌイ氏の暗殺未遂で化学兵器の一種であるノビチョク系の神経剤を使用し、米欧から制裁を受けた。