ロシアに侵攻された祖国の情勢を、地上波テレビやネット配信番組、SNS(会員制交流サイト)を通じて日本語で発信している在日ウクライナ人のナザレンコ・アンドリーさん(27)が9日までに産経新聞のインタビューに応じ、「帰国してロシアとの戦闘に参加したい」と心情を語った。生まれ故郷の街が攻撃されたことに加え、外国人「義勇兵」への参加の呼びかけに日本人70人が志願したことで現地での戦闘参加を決意したという。志願を届け出た在日ウクライナ大使館からは翻意を説得され帰国を見送ってはいるが、なお断念はしていない。
ウクライナはソ連崩壊に伴う独立(1991年)後、経済的事情もあって保有していた千発以上とされる核弾頭をロシアに移転、軍の兵員も約80万人から17万人に減らすなど通常戦力も大幅に削減した。著作や月刊「正論」への寄稿などで政治評論を発表してきたナザレンコさんは、大軍縮の背景に、核放棄の前提として米英露がウクライナなどの安全を保障するとした「ブダペスト覚書」締結(94年)で他国に国の安全保障を委ねたこと、「もはや攻めてくる国はない」という「平和主義」の錯覚もあったと分析。それがロシアによるクリミア併合(2014年)を招いたとし、中国や北朝鮮の脅威に直面しながら憲法9条が象徴する非現実的「平和主義」に浸る日本に警告を発してきた。
今回のロシアの侵攻についても、日本人に「遠い異国の地ではなく、自宅の窓の外に他国に攻撃された光景が広がっていると想像してほしい」と祖国での戦闘を決意した自らの覚悟への理解と、自国の危機に真正面から向き合うよう求めた。ナザレンコさんとのやりとりは以下の通り。 (聞き手 大阪正論室長・小島新一)