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(220)妊娠中は血糖値にも注意を

糖尿病と聞くと中高年の病気だと思う方が多いはずです。しかし中高年でなくても特に血糖値に注意しなければならないときが、女性にはあります。

30代後半の女性がクリニックを受診しました。この女性は妊娠2カ月なのですが、血糖値が高いことを心配して受診しました。それというのも、上の子の妊娠中に血糖値が高いことが判明し、インスリンによる治療を受けていたのでした。産後もしばらくは続けていましたが、子育ての忙しさから通院するのをやめてしまっていました。今回妊娠していることがわかり、すぐに糖尿病科を受診するよう産科医に言われてやってきたのでした。

血液検査をしたところ、本来140ミリグラム/デシリットル以下でなければならない血糖値が250ミリグラム/デシリットルを超えており、糖尿病の指標となるヘモグロビンA1c(正常5・5%以下、6・5%を超えると糖尿病)も10%を超えていて、しばらく前から血糖値が高い状態が続いていたと考えられました。

もともとは血糖値の異常がないのに、妊娠することで高血糖になってしまうことがあり、これを妊娠糖尿病と呼んでいます。妊娠年齢が高いほど可能性は大きくなるため、近年増加傾向にあるといわれています。また、妊娠前に糖尿病があれば、妊娠でさらに血糖値が上がることになります。

妊娠中に母体の血糖値が高くなると子癇前症(しかんぜんしょう)(妊婦の高血圧と尿タンパク)の頻度が上がることが知られています。これは悪くすると痙攣(けいれん)などを起こし、母子ともに命の危険にさらされることにつながります。このほかにも、糖尿病があると早産や羊水過多といった問題が多くなります。可能であれば妊娠する前に血糖値の異常がないかどうか確認しておくとよいでしょう。

出産と同時に血糖値は下がり、正常な状態に戻る人が多いのですが、そのまま糖尿病の治療を続ける必要がある人もいます。また妊娠糖尿病があった人は将来的に糖尿病になる可能性が高いことも知られています。運動や体重のコントロール、健診を受け続けることが大切です。

この女性はすぐにインスリンによる治療を開始しました。血糖値を毎回の食前と食後に自分で測っていますが、その後は良好な血糖値で経過しています。少し大変ですが、「子供のためなら頑張れます」とのことでした。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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