【ソウル=時吉達也】韓国大統領選は9日、投開票が行われ、保守系最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長(61)の当選が有力になった。KBSテレビが報じた。勝利が確定すれば5年ぶりに保守政権に交代する。テレビ3社の共同出口調査では、尹氏の得票率が48・4%、革新系与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事(57)が47・8%で0・6ポイント差の大接戦となっていた。
尹氏は大統領就任後に日韓関係の修復や、日米韓の安保協力の強化を目指す意向を明らかにしている。また、文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北融和政策の見直しを明言しており、北朝鮮の核ミサイル問題に対する国際社会の協調態勢にも大きな影響を与えそうだ。
尹氏は朴槿恵(パク・クネ)前政権に対する不正追及捜査で脚光を浴び、文大統領の抜擢で検事総長に登用された。しかし、政権高官への捜査を通じて文政権と対立を深め、「反文在寅」の象徴として政界に転身。保守層や若年男性などで支持を広げた。新大統領は5月10日に就任し、任期は1期5年。
韓国の中央選挙管理委員会は、投票率が暫定値で77・1%だったと発表。前回大統領選を0・1ポイント下回った。4、5日に実施された期日前投票では、投票率が前回(26・1%)を大きく上回り、過去最高の36・9%に達していた。
韓国政府は9日、新型コロナウイルスの8日の新規感染者数が34万2446人を記録したと発表。初めて30万人を突破し過去最多となった。在宅治療患者らは午後6時から同7時半まで、一般の有権者と別に投票時間が設けられた。