韓国大統領選、接戦のワケは… 社会の分断鮮明に

【ソウル=桜井紀雄】韓国大統領選は、保守系最大野党「国民の力」による政権交代か、革新系与党「共に民主党」による政権維持かを争う大激戦となった。出口調査などの結果から見えてきたのは、依然として残る地域の分断に加え、世代や男女間における投票行動の乖離(かいり)だった。

テレビ局3社の出口調査によると、60代以上の約67%が「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)氏を支持した一方で、40代の約6割は「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏に投票するなど世代間の差がくっきり出た。もともと60代以上は保守層が多く、40、50代は与党を支持する傾向が強かった。

今回の選挙でキャスチングボートを握るといわれていたのが無党派層の多い20代と30代。尹陣営は特に20代男性の心をつかもうと、兵役中の待遇改善や、女性優遇策で「逆差別」を生んでいるとして若い男性に不評だった女性家族省の廃止などを打ち出していった。

結果は、20代男性は58%超が尹氏に投じたが、20代女性で尹氏を選んだのは3割台にとどまった。20代全体では李氏がわずかに優位となり、尹陣営には誤算だったようだ。

尹氏は選挙直前に中道系野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表と劇的な候補一本化を実現したが、効果は限定的だったとみられている。与党側は、野党候補の一本化を受けた危機感から与党支持層の結集が逆に強まったとの見方を示していた。

地域別にみると、与党の地盤の南西部、全羅道(チョルラド)地域で李氏が8割超の票を獲得。南東部の慶尚道(キョンサンド)地域は尹氏支持と、歴史的に続いてきた地域分断が解消されていない実態が浮き彫りになった。中道層の多い首都圏では、李氏のお膝元の京畿道地域が李氏支持、ソウル地区は尹氏がやや上回るなど、支持が分かれた。

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