【ジェシュフ(ポーランド南部)=板東和正】ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、自身のツイッターで東部マリウポリの産科病院をロシアが空爆したと発表した。AP通信の情報では、空爆により少なくとも17人が負傷した。ただ、ゼレンスキー氏は「大人や子どもが、がれきの下敷きになっている」と主張しており、被害状況の全容は判明していない。
APなどによると、爆風で産科病院の窓ガラスが吹き飛び、壁が崩れた。兵士らが現場に急行し、出血した妊婦の女性らを担架に乗せて運び出したという。
ゼレンスキー氏はツイッターで被害を受けた産科病院の動画を公開し、「大人や子供ががれきの下敷きになっている。残虐だ。世界はいつまでこの恐怖を無視する共犯者となるのか」と非難した。
世界保健機関(WHO)のでテドロス事務局長は9日の記者会見で、ウクライナでこれまでに医療施設や救急車などに対する18件の攻撃が確認されたと発表。医療従事者10人が死亡、16人が負傷したという。
テドロス氏は、ロシア軍の攻撃は「(ウクライナの)コミュニティー全体から医療を奪っている」と危機感を示した。WHOはウクライナの医療機関を支援するため、首都キエフに医薬品を届けるなどの支援を行っているという。
ロイター通信によると、ウクライナ侵攻後、マリウポリでは少なくとも1170人の民間人が死亡。水や電気、ガスなどの供給も絶たれている。