【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米大統領は9日(日本時間10日)、韓国大統領選で勝利した保守系野党候補の尹錫悦(ユン・ソンヨル)氏と電話会談し、当選を祝福した。バイデン氏と尹次期大統領は「インド太平洋の平和と安全、繁栄の要」とする米韓同盟を強化させる考えで一致した。
ホワイトハウスの声明によると、両氏は「北朝鮮の核・ミサイル計画による脅威への対処に密接な調整を維持することを約束」し、バイデン氏は尹氏に「米国の韓国防衛への深い関与」を強調。「気候変動、新型コロナウイルス、サプライチェーン(供給網)という世界規模の重要課題への協力を深めるため、ともに働くことを楽しみにしている」と伝えた。
ロシアによるウクライナ侵攻への対応に注力せざるをえない米国にとって、安全保障上の最重要地域とするインド太平洋における同盟網の重要性は一段と高まっている。バイデン政権としては、同盟重視路線を打ち出す尹次期政権への移行を、北朝鮮や中国への抑止力強化に不可欠な日米韓の協力強化の弾みとしたい考えだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権下で溝が深まった日韓関係修復の契機とも期待している。
ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は9日、下院公聴会で証言し、同地域の平和と安定に「韓国や日本の同盟ほど重要なものはない」とし、「共通の脅威への対処に2国間、3カ国間の密な協力と情報共有に最優先で取り組む」と強調した。