米の露原油禁輸 日本は制裁とエネ安保両立に苦慮

サハリン2から到着したLNGタンカー=2009年4月、千葉県袖ケ浦市沖
サハリン2から到着したLNGタンカー=2009年4月、千葉県袖ケ浦市沖

バイデン米政権が表明したロシア産原油の輸入禁止措置などについて、日本政府は現時点では慎重な立場だ。岸田文雄首相は先進7カ国(G7)と歩調を合わせ、ロシアのウクライナ侵攻を受けた制裁を打ち出してきたが、原油を海外に依存する日本が同様の制裁に踏み切れば、自国のエネルギー安全保障に直結するからだ。首相は対露制裁とエネルギーの安定確保の両立という難しい課題に直面している。

首相は9日、官邸で記者団に米国の露産原油輸入禁止は同盟国の同調を前提としていないとの認識を示した上で「(エネルギーの)安定供給と安全保障を国益として、G7をはじめとする国際社会と連携し、取り組んでいきたい」と語った。

首相はこれまで対露制裁に関しG7との連携を重視してきたが、エネルギー問題は様相が異なる。日本はエネルギー安保の観点から中東依存の脱却を進めてきており、原油の3・6%、液化天然ガスの8・8%(2021年)をロシアから輸入している。米国のような産出国ではない日本が同様の制裁を行えば、供給懸念が高まりかねない。

中東が不安定化するリスクもあり、経済産業省関係者は「原油価格が上昇する中で安定供給を維持し、国益を守るためにも露産原油の確保は重要だ」と語る。

日本企業などが参画するロシア極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン1」「2」についても欧米企業は撤退を表明した。ただ、萩生田光一経産相は7日の参院予算委員会で「日本が抜け、どこかの第三国が権益を取ってしまっては制裁にならない」と述べた。日本が権益を手放せば、中国に奪われる恐れもある。

首相は周囲に「日本の国益は日本にしか守れない」と打ち明ける。もっとも、米国も現時点では輸入禁止への同調を求めていないが、ウクライナの戦況は予断を許さない。露軍は首都キエフを包囲する動きを強めており、事態が悪化すれば、日本も一層の制裁強化を迫られる可能性もある。(永原慎吾、那須慎一)

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