被災3県知事に聞く㊥岩手・達増拓也氏

新しい漁業を推進 地域社会の再建が課題

インタビューに応じる岩手県の達増拓也知事
インタビューに応じる岩手県の達増拓也知事

東日本大震災から11日で11年となるのに際し、岩手県の達増拓也知事が、産経新聞のインタビューに応じた。詳細は次の通り。

--これまでの復興を振り返って

「かつての惨状に比べれば、目を見張るような復興を果たしたと言っていい。昨年3月までに応急仮設住宅などのすべての入居者が恒久住宅に移り、海岸保全施設は昨年末までに9割が完成。三陸沿岸道路など復興道路は昨年12月に全線が開通。東日本大震災津波伝承館は開館以来約47万人に来館いただき好スタートを切れた思っている」

--今後の課題は

「被災地の地域経済が新型コロナウイルス流行の影響を受けた。主要魚種の不漁や燃料、資材の高騰の影響も受け、復興に大きな影を落としている。サケは大型で遊泳力の高い強靭な稚魚生産、一方で増えてきたマイワシなど資源の有効利用を進める。第三の分野としてサケ・マス類の海面養殖やアサリの養殖と生産技術の開発を進める。磯焼けの過剰なウニを間引きして適正な密度に保ちつつ、間引いたウニに餌を与え、旬の夏の出荷とは別に高値が期待される冬場に出荷するウニの二期作など、新しい漁業を推進していく」

--このほかの課題は

「特に心のケア、コミュニティーの再建は喫緊の課題だ。心の問題については時間経過に従って改善される面もあれば、逆に悪化していくところもある。一律に期限を定めて対応するのではなく、必要であれば続けるという取り組み方が必要だ。コミュニティー形成には生活支援相談員の果たす役割は大きいので、令和7年度締切(配置終了)ありきではなく、延長を国にお願いしたい」

--全線開通した三陸沿岸道路の活用策は

「すでに企業立地の増加や港湾のコンテナ取扱量の増加がみられ、時間距離が大幅に短縮することにより水産業でも流通面の効果が出ている。岩手県内は無料で通行できる利点がある。復興ツーリズムという防災学習の場としての発展も支援していきたい」

--日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の国の被害想定を受けた対応は

「国から避難路の確保や津波避難タワーの整備など新しい課題も示された。かなりの費用がかかるので、南海トラフ地震特別措置法と同程度の法整備を行って、財政支援の強化をお願いしていきたい」(石田征広)

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