停戦交渉は進展なし、「人道回廊」3日連続失敗 ロシア、日本など「非友好国」に指定

ウクライナから避難してきた赤ちゃんを抱く消防士=7日、ウクライナとルーマニアの国境(AP)
ウクライナから避難してきた赤ちゃんを抱く消防士=7日、ウクライナとルーマニアの国境(AP)

ロシアによるウクライナ侵攻で、両国の代表団は7日、ベラルーシ西部ブレスト州で3回目の停戦交渉を行ったが、具体的な進展はなかった。戦闘が続く東部マリウポリなどから民間人を退避させる「人道回廊」の設置は3日連続で失敗した。一方、露政府は同日、暴落した通貨ルーブルでの債務支払いの対象とする非友好国・地域のリストを承認。日本や米欧を含めた。

停戦交渉後、ウクライナ代表団のポドリャク大統領府長官顧問は「状況を改善する結果はない」と指摘。露代表団のメジンスキー大統領補佐官も「期待は実現しなかった」と述べた。露主要メディアが伝えた。

交渉では、ロシア側はウクライナの「非軍事化」や南部クリミア半島に対するロシアの主権の承認、東部の親露派2地域の「独立」の承認などを要求し「譲歩はしない」とも主張。即時停戦と撤兵を求めるウクライナ側との溝は深い。

10日にはトルコでラブロフ露外相とウクライナのクレバ外相の会談が設定された。侵攻後、両国閣僚の会談は初となるが、停戦への前進がある保証はない。

人道回廊をめぐっては、ロシアは7日、ウクライナの首都キエフと東部ハリコフ、東部マリウポリ、北東部スムイの4都市に設置すると発表。しかし、ロシア側はキエフとハリコフからの避難者を露国内に移送すると主張し、ウクライナは拒否した。回廊の設置失敗は3日連続。ロシアは8日も回廊を設置する準備があるとしているが、民間人の退避が進むかどうかは不透明だ。

一方、タス通信によると、露政府は7日、対露制裁に参加したとする非友好国・地域のリストを承認。米国や英国、欧州連合(EU)諸国のほか、日本や韓国、台湾などを含めた。これらの国やその国の企業に対し、露政府や露企業などはロシア側が設定したレートに従ってルーブルでの債務返済が認められる。

デフォルト(債務不履行)回避策とみられるが、外国為替市場ではルーブルが暴落しており、ルーブルで債務を一方的に返済した場合、ロシアの信用低下がさらに進むのは確実だ。

戦況をめぐっては、ハリコフやマリウポリを包囲したロシア軍の砲撃などで民間人の死傷者が拡大。南部ミコライフにもロシア軍が侵入したが、ウクライナ軍が撃退したという。また、キエフ近郊のパン工場がロシア軍の空爆を受け、少なくとも13人が死亡した。

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