ソウルからヨボセヨ

「政治報復」を望むのは

終盤戦を迎えた韓国大統領選。遊説会場の大統領候補の演説を取材中、対立陣営を支持する女子学生らがプラカードを手に抗議の声を上げ、場内に突っ込む一幕があった。遊説会場での同様のトラブルは日本でも見かけるが、観衆の対応はやや違う。学生に殴る蹴る、髪を引っ張るなどの暴行を加える支持者たちを、候補陣営のスタッフが必死になだめていた。

学生らはその後、警備の警察官によって会場から「隔離」されたが、わざわざ演説中の候補者に背を向けて学生らに近づき、罵倒する支持者の姿もあった。

歴代大統領の刑事責任を退任後に追及するなど、保革両陣営が互いに「政治報復」を繰り返してきた韓国。今回の選挙戦でも野党候補が現政権への捜査に意欲を示し、与党候補は報復を「後でひそかにするもの」などと発言している。

メディアや世論は、表向きは報復政治との決別を求める。しかし、社会に不満を抱え、誰かが「報復」されるのを待ち望むのは、ほかでもない国民なのではないか。学生に罵声を浴びせ満足そうな30代男性の表情に、そんなことを思った。

なお、涙声でシュプレヒコールを上げていた学生らは、遊説が終了した途端けろっとした表情に一変。「お疲れさまですー」とあいさつし、次の現場に向かっていった。(時吉達也)

会員限定記事会員サービス詳細