【ワシントン=渡辺浩生】米国防総省高官は7日、ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の動向について、侵攻前に国境沿いに集結した戦闘兵力の100%近くがウクライナに投入されたことを明らかにした。侵攻開始からのミサイル攻撃は625発を超えた。主要都市の包囲を狙って、市街地への砲撃が増しており、民間人の犠牲者が増える原因となっている。
高官はまた、ロシアが中東のシリアで、ウクライナに投入する外国人戦闘員の採用を行っていると明らかにした。採用の規模やすでに戦闘に投入されたかなど詳細は不明としている。
6日付米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、複数の高官の話として、要員が首都キエフ制圧の市街戦に活用する目的とし、一部はロシア入りし戦闘準備にあると報じた。シリアには2015年から露軍が展開している。
高官はキエフなど主要都市の制圧を狙うロシア軍の動きが、強固なウクライナ軍の反撃よって停滞している状況が、外国人の戦闘員に頼ろうとする理由のひとつとの見方を示している。
両空軍の制空権をめぐる争いも続いており、高官はウクライナ空軍の航空機や対空ミサイル能力は機能を続けているとした。
一方、オースティン米国防長官は米軍約500人の欧州への追加派兵を命じた。北大西洋条約機構(NATO)の防衛・抑止力を高める目的で、ポーランドやルーマニアなどに派遣。航空機の給油業務や戦闘装備の維持管理などにあたる。