長い新型コロナウイルス禍で、落語界も中止や休館などで打撃を被り、国の支援金を申請するなどしています。ところがこの支援金、フリーランスの仕事をしている人も対象となっているため、その仕事を本当にやっているかという証明が必要となります。
会社員の場合は社員証など、身分を明らかにする公の物がちゃんとありますが、われわれはいわば個人事業主なので、その証明を所属する上方落語協会に発行してもらったり、支援金をもらうのも一苦労です。
ところが昔、われわれ噺(はなし)家にも「遊芸稼ぎ人」という鑑札が国から発行されていたのです。「不動坊」という落語の中にもこの「遊芸稼ぎ人」が出てくるのですが、いわば芸人であるという証明書を国が発行し、芸人はそれを携行していたそうです。