ウクライナ侵攻を続けるロシア政府は7日、外貨建て債務について自国通貨ルーブルでの返済対象とする「非友好国・地域」のリストを承認した。日本や米欧が含まれる。露主要メディアが伝えた。対露制裁を受けたデフォルト(債務不履行)回避策となる。ロイター通信によると、ウクライナ東部スムイには8日、「人道回廊」が設置され、市民の退避が始まったが、米国防総省によるとロシア軍は国境沿いに集結させた戦力の100%近くをウクライナに投入、侵攻後のミサイル攻撃は625発を超えた。
非友好国リストには、米国や英国、欧州連合(EU)諸国のほか、日本や韓国、台湾などが含まれた。
対象国・地域の政府や企業に対し、露政府や企業は露中央銀行が設定したレートに従ってルーブルでの債務返済が認められる。暴落するルーブルで一方的に債務を返済した場合、ロシアの信用低下と通貨安がさらに加速するのは確実だ。
対露制裁で国外に保有する多額の外貨を凍結されたロシアは今後数カ月で、デフォルトに陥るとの観測が強まっている。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6日、ロシアの自国通貨建てと外貨建て長期国債の格付けを非常に投機的であることを示す「Ca」に格下げした。
一方、7日に行われた停戦交渉を受け、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「状況を改善する結果はない」と述べたものの、東部スムイに続き、首都キエフや東部ハリコフ、マリウポリなどでの人道回廊設置が決まるか注目される。停戦をめぐっては、ウクライナのクレバ外相とラブロフ露外相が10日、トルコで会談を実施。両国閣僚の会談は侵攻後、初めてとなる。
ウクライナでは8日までに、ハリコフやマリウポリを包囲したロシア軍の砲撃で民間人の死傷者が拡大。南部ミコライフにもロシア軍が侵入し、ウクライナ軍が撃退した。キエフ近郊のパン工場がロシア軍の空爆を受け、少なくとも13人が死亡したという。
オースティン米国防長官は同日までに米軍約500人の欧州への追加派兵を命じた。北大西洋条約機構(NATO)の防衛・抑止力を高める目的で、ポーランドやルーマニアなどに派遣。航空機の給油業務や戦闘装備の維持管理などにあたる。