3月6日
戦争から11日目。
キエフの北にあるイルピンとブチャという街から、ボランティアにニュースを送ってもらった。
ロシア軍は空爆、クラスター爆弾、ミサイル、戦車で攻撃してきた。住民には暖房も電気も、食品も水もない。ロシア軍は避難しようとする住民にも砲撃している。食料を運ぶボランティアの車も銃撃された。
キエフには、イルピンとブチャを支援するための十分な物資があるが、問題はロシア軍の砲撃により、それを届けることができないことだ。
食べ物や薬を分けてあげたいが、そこまで届ける手段がないことに、心が折れそうだ。私には暖房と電気と食べ物があるのに、彼らにはないことに、罪悪感を抱いている。
これは多くの都市で問題になっているそうだ。物資は十分にあるのに、ロシア軍の攻撃のせいで、被災地に届けられない。
(ウクライナ北部の)チェルニヒウの友人と連絡をとった。チェルニヒウも激しい砲撃を受けている。毎晩砲撃の音を聞きながら誰の家に落ちただろうと案じているという。
道路が地雷だらけで、離れようにも離れられないようだ。友人がパンを買いに行ったときの写真を送ってくれた。このあたりは以前は活気があり、人がたくさんいたことを覚えている。しかし今は、焼け焦げた窓が、こちらをのぞきこんでいる。
イルピンの次は、私の近所もそうなるのだろう。
「子供を連れて、どこか遠くへ行け」と言われる。しかし私はここに残る家族を、餌やりが必要なネコを見捨てて行けるだろうか。
私は逃げられない、それはフェアじゃない。
キエフ郊外から、ユーリア・クリメンコ=IT会社勤務。夫と息子、両親と暮らす。大学で日本語を専攻、留学経験もある。
随時掲載(内容を一部加筆・修正しています)