中国外相が日本に「忠告」 歴史、台湾問題で

記者会見する中国の王毅国務委員兼外相=7日、北京(共同)
記者会見する中国の王毅国務委員兼外相=7日、北京(共同)

【北京=三塚聖平】中国の王毅(おうき)国務委員兼外相は7日、開会中の全国人民代表大会(全人代)に合わせて北京で記者会見し、日中関係について「依然、一定の不一致や試練に直面している」と述べた。歴史や台湾などの問題が日中間の相互信頼の基礎に関わるとし、「両国関係に深刻な衝撃をもたらすのを避けるように」と日本側に一方的に「忠告」した。

王氏は、9月に迎える日中国交正常化50年に触れ「双方の交流、協力は絶えず拡大してきた」と指摘する一方、「日本国内の一部の人間が中国の急速な発展や、中日関係の安定を望んでいない」と主張した。

日本側への「3点の忠告」として①1972年の日中共同声明などの「4つの政治文書」の順守②両国関係の政治基礎を守る③「他人のために火中の栗を拾うな」-などと求めた。「火中の栗」は米国との同盟強化の動きとみられる。

ロシアによるウクライナ侵攻に関し、「必要な時に国際社会とともに必要な仲裁を行いたい」と表明した。中国単独で仲裁に乗り出すことは避ける考えとみられる。中露関係について「互いに最重要の緊密な隣国で戦略パートナーだ」と強調し、ロシアの侵攻を非難することもなかった。

王氏は同時に、中国赤十字会を通じてウクライナに緊急人道物資の援助を早期に行う考えを表明。ウクライナ国内で一般市民の保護や、避難民に対する支援などを行うよう呼び掛けるなど、友好関係を持つウクライナに人道面の支援で配慮する姿勢を示した形だ。

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