ウクライナに侵攻したロシアは6日、ウクライナの首都キエフの南西にあるビニツァの空港をミサイル攻撃で破壊した。露国防省が発表し、ウクライナのゼレンスキー大統領も認めた。同省は「ほぼ全てのウクライナの航空戦力を破壊した」とし、制空権を確保したとの認識も表明。ゼレンスキー氏はウクライナ上空を飛行禁止区域に設定するよう米欧に改めて求めた。一方、3回目の停戦交渉は7日にも行われる可能性がある。
制空権を確保した側は、地上部隊の前進や航空機での空爆が容易になる。ロシアは経済制裁の影響が深刻化する前にウクライナを制圧したい構えで、東部ハリコフやマリウポリなど各都市への攻撃を激化させ、キエフ包囲に向けた作戦も本格化させる可能性がある。
ゼレンスキー氏は制空権を喪失して空爆が激化する懸念から、飛行禁止区域の設定や戦闘機の供与を求めている。北大西洋条約機構(NATO)はロシアとの直接衝突につながる同区域の設定を否定。ただ、米CNNによると、米国はウクライナ空軍と同じ旧ソ連設計の戦闘機を運用するポーランドと戦闘機供与の可能性を協議しているという。
一方、露国防省は6日、ポーランドなどがウクライナに空軍基地を使用させた場合、「対露参戦したものとみなす」と警告した。
マリウポリでは6日、非戦闘員を退避させる「人道回廊」が設置されたが、5日に続き、退避は進まなかった。回廊設置に伴う一時停戦措置を順守しなかったと双方が互いを非難した。
両国メディアによると、3回目の停戦交渉が7日にもベラルーシとポーランドの国境地帯で行われる可能性がある。ただ、プーチン露大統領は7日、電話会談したフランスのマクロン大統領に、停戦には「既知のロシアの要求をウクライナが無条件で受け入れることが不可欠だ」と伝達した。
プーチン氏は従来、ウクライナの「非軍事化」やクリミア半島への露主権の承認などを停戦条件として提示。さらに4日には、東部2州全域の「独立」の承認が必要だとも主張し、ウクライナには容認が困難な要求を突き付けている。
一方、ロシア各地では6日も反戦デモが行われ、露人権監視団体によると、7日午前0時(日本時間同日午前6時)までに64都市で4600人超の参加者が拘束された。先月24日の侵攻初日以降、拘束者数は計1万3000人超を超えた。