堀内恭彦の一筆両断

「自分の国は自分で守る」今こそ改憲・国防の議論を

堀内恭彦氏
堀内恭彦氏

ロシアによるウクライナ侵略は重大な国際法違反であり、到底許されるべきものではない。しかし、このような力による一方的な現状変更が起こり得ることも世界の現実である。日本にとっても「今そこにある危機」であり、われわれに残された時間は少ないように思う。

今の憲法や法制度で、本当に「自分の国は自分で守る」ことができるのか? ウクライナ情勢を受けて、ようやく衆院憲法審査会でも憲法第9条の改正や非核三原則に関する議論が活発化してきたようである。

そもそも75年も前に施行された憲法が一度も見直されていないということ自体、おかしなことである。頑迷な護憲論者は「憲法第9条こそが最高の自衛策」などと主張するが、ロシアのように明確な侵略意図を持つ敵性国家に対しては、いささかの抑止力にもならず、無力である。

日本の平和を守っているのは、自衛隊と「日米同盟」に基づく米軍の力である。憲法第9条ではない。この現実を見据えて、自衛隊の存在を憲法上に明確に位置付け「自衛隊が違憲かもしれない」との無益な議論に終止符を打ち、国防関連法案の整備を進めていかなくてはならない。

まず、尖閣諸島(沖縄県石垣市)や周辺海域の防衛において自衛隊が速やかに出動して対処できるようにすべきである。現行の自衛隊は「やっていいこと」だけを規定する「ポジティブリスト」方式で規制されているため、法に規定されていない行動をその場で判断して行うことができない。これを諸外国の軍のように「やってはならないこと」だけを定める「ネガティブリスト」方式に改めれば、迅速な対応が可能となる。

また、同盟国を増やして平和を守るという観点からは、限定的な集団的自衛権の行使ではなく、他国と連携した幅広い自衛権の構築が認められるべきであろう。

さらには、日本の安全が脅かされる危機的状況に陥ったときにまで、「非核三原則」を堅持して米国の核搭載船を日本に寄港させないということになると、到底、日本を守ることはできない。

国民に対して憲法改正を発議することができるのは国会だけである。

ウクライナ情勢を契機に世論が高まりを見せている今こそ、国会議員は躊躇(ちゅうちょ)なく憲法改正をめぐる議論をリードし、国民を信じて発議し、国民に判断を仰ぐべきである。発議すらせず、国民が判断する機会を奪うことがあってはならない。

世界の情勢と日本の現状を見据えて、私たちの憲法や国防をどうするのか、一人一人が真剣に考えて投票する、今こそ「自分の国は自分で守る」気概を持って、私たち自身が新しい時代を切り拓(ひら)いていかなくてはならない。

【堀内恭彦(ほりうち・やすひこ)】昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。九州ラグビーフットボール協会理事(スポーツ・インテグリティ担当)、元九州大学ラグビー部監督。

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