政府は7日、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて日本が実施している対露制裁やウクライナ支援の対応を多言語で発信している文書について、ウクライナ語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語の5カ国語を追加で公表した。首相官邸の公式サイトはすでに日本語、英語、中国語で公開してきたが、日本の対応を世界に示すことで、ロシア寄りの国・地域を厳しい対露制裁を科す国際社会に引き込み、対露包囲網の強化につなげる狙いがある。
文書には、「日本はウクライナと共にあります」と明記。ウクライナに対する1億ドル規模の借款、1億ドルの緊急人道支援のほか、希望する在留ウクライナ人の在留期間の延長を許可する対応を説明した。
プーチン露大統領らへの資産凍結のほか、ベラルーシのルカシェンコ大統領らへの制裁措置についても明記。国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの特定銀行を排除する対応を取ったことも示した。
ウクライナ侵攻をめぐっては、中国や中南米などに、ロシア非難を控えたり、曖昧な態度を取ったりする国々が少なくない。こうしたロシア寄りの国々に日本の姿勢を示し、対露制裁とウクライナ支援に力を注ぐ国際社会の潮流に引き込む狙いがある。
また、ロシア国内では反戦デモが起こるなどプーチン政権に批判的な国民もいる。そうしたロシア国民に対し、プーチン体制を非難する日本の対応を伝える狙いもある。
発信内容は今後、対露制裁がさらに強化されれば「バージョンアップさせる」(政府関係者)方針だという。